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出張時のホテル手配のまとめ:宿泊相場からホテル選定方法、精算の流れを解説
新型コロナウイルスに伴う出入国条件の緩和に伴い、海外への渡航が増えてきました。とりわけ、ビジネス目的での渡航は非常に増えています。
海外出張の再開で気になるのが出張費用です。ガソリン価格の高騰に伴う航空券代の増加や為替の影響による現地での生活コストの増加など、出張に際してどの程度の費用が発生するのかを事前に把握したい企業も多いでしょう。
なかでも、宿泊施設については出張旅費規程で上限額を定める必要があるため、価格設定を悩んでいる企業も多いかと思います。そこで、本コラムでは、出張費にフォーカスし、世界の主要都市のホテル相場も紹介したうえで、宿泊費用の設定方法について解説します。
もくじ
出張費は、出張にかかる費用全体を指す一般的な呼称です。内容にもよりますが、会計処理上は「旅費交通費」という勘定科目で処理されるのが一般的です。「旅費交通費」は、出張に必要な移動費や宿泊費などをまとめて経費処理するための会計上の名称です。具体的には下記の費用が該当します。ただし、含まれるのは業務のために通常の勤務地以外へ出向いた際に発生する費用に限定されます。
宿泊費用の相場は、地域によって異なります。例えば、大都市とそれ以外でホテル料金は大きく異なります。また、出張費用の相場は役職によっても異なります。なお、相場の目安としては下記の通りです。
項目 | 一般社員 | 部長クラス | 役員クラス |
---|---|---|---|
国内宿泊費 | 8,000~10,000円 | 10,000~12,000円 | 15,000円~ |
海外宿泊費 | 12,000~14,000円 | 16,000~18,000円 | 25,000円~ |
日当の相場についても宿泊費と同様に、エリアと役職で設定されるのが一般的です。日当の基準としては、国内出張は2,000円台、海外出張では5,000~6,000円台を基準に設定されるのが一般的です。なお、日当相場については下記にて詳細をまとめているのでご覧ください。
日当の相場はいくら?出張手当の相場と設定方法を解説(2023年更新)
近年、ホテル料金の相場が高騰しており、規程内では宿泊できないケースが発生しています。それでは、企業は宿泊費をいくらに設定すればよいのでしょうか。出張時の宿泊費相場については、都市ごとのデータを確認したうえで経済合理的な範囲で設定する必要があります。以下では、都市別のホテル料金相場をお伝えしたうえで、具体的な宿泊費の設定方法について解説します。
今回、ホテル相場を調べるにあたっては、Trivago社が公表しているTRIVAGO HOTEL PRICE INDEXを活用しました。なお、TRIVAGO HOTEL PRICE INDEXでは、TRIVAGO社がチェックしている500万件のホテルの価格推移を作成しているとのことです。
はじめに、2023年4月から2024年3月までの東京のホテル相場を紹介します。
数値を見ると、価格は上昇傾向にあり、2024年3月は28,634円に達しました。
近年、ホテルの料金は上昇傾向にあり、なかでも東京は価格の高騰が著しい状況です。
東京のビジネスホテルの平均価格は、15,498円と言われています。
参考:東京宿泊単価は15カ月連続の過去最高値をマーク、東京ホテル会が2024年2月客室データ発表
続いて、アジア地域におけるホテル相場を紹介します。
最も高い料金は、シンガポールで37,908円でした。最も安い料金はマニラで8,297円でした。東京の平均ホテル料金が上昇したこともあり、東京よりも高いのはシンガポールのみという結果となりました。
ヨーロッパ主要都市のホテル料金相場は東京と比較してかなり高い結果となりました。ロンドンやパリは、40,000円を超えており、出張時のホテル料金はかなり高く想定する必要がありそうです。その他のエリアでも東京と比較してホテル代が高い結果となっています。
北アメリカの主要都市のホテル料金相場も東京と比較してかなり高い結果となりました。ニューヨークの平均価格は53,852円と日本の2倍に届く勢いです。その他のエリアでもホテルの料金は30,000円を超える結果となりました。
南アメリカのホテル相場は、東京よりも低い数値となりました。最も高かったのはブエノスアイレスで19,035円と東京と同程度のホテル料金相場です。
中東エリアのホテル料金相場は、ドバイが33,352円とヨーロッパ並みの料金になりました。また、アフリカの主要都市については、20,000円付近という結果でした。今後、アフリカへ出張する企業も多いと思いですが、主要都市は東京並みのホテル料金相場であることを認識しておきましょう。
オセアニアのホテル料金水準は、東京並みという結果になりました。ただし、シドニーは33,190円であり、他の都市よりも高額な結果となっています。
ここまでは各都市におけるホテル料金の平均価格を紹介してきました。しかし、ホテルのレベルもビジネスホテルから高級ホテルまで様々なため、これまで紹介してきた金額は必ずしも参考にならない場合もあろうかと思います。
そこで活用したいのが、平均価格の指数化です。東京の平均価格を100とした場合の各都市の指数を算出することで都市ごとのホテル上限額を設定します。
ここでは参考にソウルのホテル上限額を設定してみます。
東京とソウルの平均価格を比較すると、東京が15,191円であるのに対し、ソウルは13,021円でした。そのため、ソウルの指数は85.71(=13,021÷15,191)となります。例えば、御社の東京におけるホテル上限価格が10,000円の場合、ソウルのホテル上限価格は8,500円(=10,000×0.85)となります。
都市名 | 指数 | ホテル上限料金 |
---|---|---|
東京 | 100 | 10,000円 |
ソウル | 85.71 | 8,500円 |
以下は、東京のホテル平均料金を100とした場合の、世界の主要都市の数値です。これにより、都市ごとのホテル相場が見え、東京を基準として他都市の料金を設定することが可能になります。
最後に直近のホテル価格の増加率を紹介します。例えば、2022年9月から2022年11月と2022年12月から2023年2月の平均価格を比較すると、東京のホテル相場は25%増加しており、今回リストアップされていた都市のなかで最も高い価格上昇率となっています。特に日本の宿泊施設は、インバウンド需要増によりホテル価格が上昇傾向にあるため、直近のホテル価格の増減率も考慮しましょう。
いかがでしたか。ホテルの宿泊料金の上限価格は、従業員の満足度と会社の支出のバランスを取る必要があるため、設定が非常に難しいと言われています。そういった状況こそ、客観的な数値に基づく設定が重要になります。今回のデータを参考に是非、納得感のある設定を目指しましょう。