アメリカ出張を控えた渡航者様や企業の管理担当者様に向け、最新の入国要件と準備のポイントを網羅的に解説します。
スムーズなアメリカ入国に必須となるESTAの申請方法や、短期商用から駐在まで目的別に異なるアメリカビザの種類・条件など、ビジネス渡航の成否を分ける重要情報を徹底整理しました。
また、現地での移動に不可欠なライドシェアの利用法や最新のチップ相場、治安対策など、実務に役立つノウハウも満載です。
もくじ
アメリカ出張の目的地は、業界やビジネスの目的によって多岐にわたります。
主要なビジネス拠点と、その玄関口となる代表的な空港は以下の通りです。
| エリア | 主要都市 | 代表的なゲートウェイ空港(コード) | 特徴 |
| 西海岸 | ロサンゼルス | ロサンゼルス国際 (LAX) | IT・テック企業(シリコンバレー)、エンタメ、物流の拠点。日本からの直行便が豊富。 |
| 西海岸 | サンフランシスコ | サンフランシスコ国際 (SFO) | IT・テック企業(シリコンバレー)、エンタメ、物流の拠点。日本からの直行便が豊富。 |
| 東海岸 | ニューヨーク | ジョン・F・ケネディ国際 (JFK) | 金融、メディア、国際政治の中心地。日本との時差が大きく(通常14時間)、体調管理が重要。 |
| 東海岸 | ワシントンD.C. | ダレス国際 (IAD) | 金融、メディア、国際政治の中心地。日本との時差が大きく(通常14時間)、体調管理が重要。 |
| 中西部 | シカゴ | オヘア国際 (ORD) | 製造業、物流のハブ。内陸部への乗り継ぎ拠点としても多用される。 |
| 南部 | ヒューストン | ジョージ・ブッシュ・インターコンチネンタル (IAH) | エネルギー産業、航空宇宙、製造業。アトランタは世界屈指の利用者数を誇るハブ空港。 |
| 南部 | アトランタ | ハーツフィールド・ジャクソン (ATL) | エネルギー産業、航空宇宙、製造業。アトランタは世界屈指の利用者数を誇るハブ空港。 |
残存期間: アメリカ入国時から帰国時まで有効であれば制度上は問題ありませんが、不測の事態(滞在延長など)に備え、「入国時6ヶ月以上」の残存期間があることが推奨されます。
ICチップ: 現在、ビザ免除プログラム(VWP)を利用する場合、ICパスポート(e-Passport)であることが必須条件です。
短期の商談や視察(90日以内)であれば、ビザなしで渡航できる「ESTA」の申請が必要です。
注意点: 承認までに最大72時間かかる場合があるため、遅くとも出発の3日前までには申請を完了させてください。
また、過去に特定の国(イラン、イラク、キューバ等)への渡航歴がある場合、ESTAが利用できずビザ取得が必要になるケースがあるため、早めの確認が必須です。
MDAC (Malaysia Digital Arrival Card) の提出が義務付けられています。
これは、入国予定日の3日前からオンラインで登録可能です。
登録後、確認のメールが届くため、プリントアウトまたはスマートフォンで表示できる状態にしておきましょう。
現地での実務作業、報酬を伴う活動、または90日を超える滞在の場合は、ビジネスビザ(B-1ビザなど)の取得が必要になります。
ESTAの範囲内か、ビザが必要な業務内容かは、法務・人事部門と事前に協議しましょう。
アメリカへのビジネス渡航では、滞在期間や現地での活動内容によって、必要な手続きが大きく異なります。日本のパスポート保持者は多くのケースでビザ免除の対象となりますが、例外も多いため注意が必要です。
日本国籍の方が、90日以内の短期滞在で商談や会議、市場調査などの「報酬を伴わないビジネス活動」を行う場合、ビザ(査証)を取得せずに渡航できる**ビザ免除プログラム(VWP)**が適用されます。
※重要【2025年12月発表】ESTA申請時にSNS情報の提出が「義務化」へ
これまで任意だった「過去5年間のSNS利用履歴(アカウント名)」の提出が2026年にかけて順次必須項目となります。これは大統領令に基づくセキュリティ強化の一環です。
対象: Instagram, X (旧Twitter), Facebook, YouTubeなどの主要プラットフォーム。
注意点: 虚偽の申告や記載漏れがあると、意図的でなくても「虚偽申請」とみなされ、入国拒否や今後の渡航禁止に繋がる恐れがあります
※正確な開始時期は未定となります。
最新情報はESTA申請公式サイト(米国国土安全保障省)にてご確認をお願いします。
90日を超える滞在、または期間に関わらず「現地での実務作業」や「給与・報酬が発生する活動」を行う場合は、目的に応じた適切な非移民ビザ(就労ビザ)を取得しなければなりません。
B-1(短期商用):ESTAの条件(90日)を超える長期出張や、ESTAが利用できない状況での商用渡航。
E-1 / E-2(通商・投資):日米間で多額の貿易を行う企業の管理職・専門職(E-1)、または米国へ多額の投資を行っている企業の駐在員(E-2)。日本企業に最も一般的な駐在ビザです。
L-1(企業内転勤):日本の親会社から米国の系列会社へ派遣される管理職(L-1A)または専門知識保持者(L-1B)。
H-1B(専門職):理工学、学術研究、ITなど、高度な専門知識を必要とする職種に従事する場合。年間発行枠に限りがあります。

アメリカの入国・ビザ要件は頻繁に更新されます。最新かつ正確な情報を得るためには、以下の公式窓口を確認してください。
アメリカ出張を成功させるためには、出発前の準備が8割を占めると言っても過言ではありません。企業の管理部門が整備すべき項目と、出張者本人が準備すべき項目を整理しました。
会社として出張者の安全を確保し、スムーズな経費精算や業務遂行をサポートするためのチェックリストです。
現地で「困った」をなくし、ビジネスに集中するための準備リストです。
| カテゴリ | チェック項目 | 備考 |
| 書類・認証 | パスポート・ESTA承認画面の控え | 紙でのバックアップも推奨。 |
| 決済 | クレジットカード2枚以上 | 米国はキャッシュレス社会ですが、JCBは使えない場所が多いためVISA/Mastercardが必須。 |
| デジタル | 変換プラグ(タイプA) | アメリカは日本と同じAタイプですが、電圧(120V)が異なるため対応機器か確認。 |
| 医療 | 常備薬・英文の薬剤証明 | 普段飲んでいる薬は、念のため英文の説明書があると安心です。 |
| 移動・地図 | ライドシェアアプリの登録 | UberやLyftはアメリカ出張の必須アプリ。日本でクレカ登録まで済ませておく。 |
アメリカの空港に到着してからゲートを出るまでには、大きく分けて「入国審査」「荷物の受け取り」「税関検査」の3つのステップがあります。特に主要空港では非常に混雑するため、時間に余裕を持った行動が求められます。
飛行機を降りたら “Passport Control” または “Immigration” の表示に従って進みます。
入国審査が終わったら、掲示板で自分の便名を確認し、ターンテーブルからスーツケースをピックアップします。
【乗り継ぎがある場合の注意点】 アメリカ国内線に乗り継ぐ場合でも、最初の到着空港で一度荷物を引き取る必要があります。荷物を受け取った後、”Connecting Flights” の表示に従い、再度専用カウンターで荷物を預け直します。
最後に税関を通過します。以前のような紙の税関申告書は廃止が進んでおり、APC端末での回答や口頭での申告が主流です。
すべての手続きが終わると、出口(Exit)から一般の到着ロビーへ出ることができます。ここから市内への移動を開始します。
アメリカの主要空港から市内への移動は、日本ほど鉄道網が発達していない都市が多く、車での移動が基本となります。特に近年のビジネス渡航では、タクシーよりも「ライドシェア」の利用が一般的です。
アメリカ出張の必須ツールです。専用アプリで配車から支払いまで完結するため、英語での行き先指示やチップの計算が不要というメリットがあります。
各空港の到着階にある「Taxi Stand」から乗車します。
ニューヨーク(JFK)やシカゴ(ORD)、サンフランシスコ(SFO)など、一部の都市では鉄道が市内中心部へ直結しています。
地方都市への出張や、複数の拠点を回る場合にはレンタカーが選択肢に入ります。
アメリカでのビジネスは「効率」と「信頼」を重視します。日本とは異なる商習慣や、防犯上のルールを正しく理解しておくことが、スムーズな商談と安全な滞在に繋がります。
現在、アメリカではサービス料金の高騰(チップフレーション)が続いています。以前の相場(15%)よりもやや高めに設定するのが現在のマナーです。
| シーン | チップの目安 | 支払い方法・備考 |
| レストラン(席注文) | 18% 〜 25% | 会計時、レシートの「Tip」欄に記入。20%が現在の標準です。 |
| タクシー・Uber | 15% 〜 20% | アプリ(Uber/Lyft)なら降車後に選択。タクシーは支払い時に加算。 |
| ホテルのポーター | 荷物1個につき $2 〜 $5 | 荷物を運んでもらった際に、現金(小銭ではなく紙幣)で手渡し。 |
| 客室清掃(ベッドメイク) | 1泊につき $3 〜 $5 | 毎朝、枕元や机に見えるように置きます。 |
| カフェ・テイクアウト | 任意($1程度) | レジの端末で選択を求められますが、セルフなら「No Tip」でも失礼ではありません。 |
アメリカは日本に比べて「通り一本」で治安が激変します。以下のサインに気づいたら、すぐにその場を離れるか、タクシー等を呼びましょう。
アメリカから日本へ帰国する際、日本のような「対面式の出国審査」はありません。しかし、その分「自分の滞在記録が正しく管理されているか」を自身で把握しておくことが重要です。
アメリカの空港では、保安検査(手荷物検査)を終えるとそのまま搭乗ゲートに向かうことになります。パスポートに出国スタンプが押されることもありません。
アメリカ入国時に「いつまで滞在して良いか」を定めた記録を I-94(出入国記録) と呼びます。現在は電子化されており、紙のカードは配布されません。
CBP I-94公式サイト: 自身の滞在期限の確認、過去の渡航履歴の取得。
在日米国大使館・領事館(ビザ情報): 日本語によるビザ・ESTAの基本情報。
外務省 海外安全ホームページ(アメリカ): 現地の治安状況や渡航上の注意。