もくじ
メキシコはラテンアメリカ第2位の経済規模を誇り、日本にとって最大の貿易相手国の一つです。特に「ニアショアリング(生産拠点の近接化)」の潮流により、製造業の拠点が集中する北部や中央部(バヒオ地区)への出張ニーズが急増しています。
2025年現在、メキシコ入国時の大きな変更点として、かつて必須だった紙の入国カード(FMM)が主要空港で完全に廃止され、パスポートへのスタンプまたはデジタル管理へと移行しました。これにより手続きは簡素化されましたが、審査官の裁量による「許可日数」のトラブルが増えているため、事前の正確な情報把握が不可欠です。
メキシコは広大であり、目的地の産業によって利用する空港が明確に分かれます。
政治・経済の中心地。多くの日系企業の拠点や金融機関が集まります。主たる空港は、 ベニート・フアレス国際空港。ですが、混雑緩和のため一部の便が新しい「フェリペ・アンヘレス国際空港(NLU)」に分散されているため、予約時の空港コード確認が必須です。
日系自動車メーカーや部品メーカーが集中する「バヒオ地区」への玄関口です。日本人出張者が最も多く利用する空港の一つである「デル・バヒオ国際空港」があります。
米国国境に近い工業都市。テスラなどのEV産業の進出により、近年ビジネス渡航が激増しています。主要空港はモンテレイ国際空港。
メキシコ入国時に「入国拒否」や「希望より短い滞在期間」を言い渡されないよう、管理者は以下の必須要件を必ずチェックしてください。
メキシコ入国において現在最も注意すべきは、「滞在許可日数」です。ビザなし渡航の場合、最大180日まで滞在可能ですが、審査官が「15日間」や「30日間」と短く設定するケースが散見されます。出張者には、審査時に必ず「出張期間(帰国日)」を明示し、その場でスタンプの数字を確認するよう指導してください。
| 項目 | 確認事項 |
| パスポートの残存期間 | 入国時に「滞在予定期間以上」の有効期限が必要です。ただし、不測の事態に備え、半年以上の残存が推奨されます。 |
| ビザの要否(日本国籍) | 180日以内の観光・一般的な商用(会議・商談・市場調査)であればビザは不要です。ただし、現地で報酬を得る活動は厳禁です。 |
| 入国カード(FMM) | 2025年現在、主要国際空港では廃止されています。パスポートへのスタンプ、またはデジタルでの滞在管理となります。 |
| 出国用航空券 | メキシコから出国するための予約済み航空券(Eチケット)の提示を求められることが多いため、必ず準備してください。 |
メキシコへのビジネス渡航では、「現地で報酬(給与)が発生するか」および「滞在期間」によって必要なビザが明確に分かれます。近年、バヒオ地区などの工業地帯では、入国管理局による路上や工場での抜き打ち査察が強化されています。「商談目的(ビザなし)」で入国した出張者が工場内で「作業」を行っているとみなされた場合、国外退去や多額の罰金が科され、企業のレピュテーションリスクに直結します。活動内容を精査し、必要であれば短期就労ビザの手配を検討してください。
日本国籍者が、現地で報酬を得ない「商談、会議、市場調査、契約署名」などの目的で渡航する場合、180日以内の滞在であればビザ(査証)は不要です。
以前は一律で「180日」が付与されることが一般的でしたが、2025年現在は「審査官が必要と判断した日数分」しか付与されないケースが増えています。入国審査時に、帰国便の航空券やホテルの予約確認書を提示し、滞在予定期間を明確に伝える必要があります。
30日を超える長期滞在や、現地で「実労働」を行い報酬を得る場合は、適切な査証の取得が義務付けられています。
メキシコのビザ制度や入国カード(FMM)のデジタル化状況は流動的です。渡航前には必ず以下の公式情報を確認してください。
https://embamex.sre.gob.mx/japon/index.php/ja
日本国内でのビザ申請手順や、最新の必要書類を確認するための最重要窓口です。
メキシコ国内の入国管理、滞在延長、FMMのデジタル版取得に関する公式サイトです。
https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcinfectionspothazardinfo_264.html#ad-image-0
治安情報と併せて、入国制度の変更に関する通達が掲載されます。
メキシコ出張では、デジタル化された手続きと、審査官への「物理的な証明書類」の両方が必要です。以下の項目を確認し、出発前のリスクを最小限に抑えましょう。
メキシコ入国時にパスポートが原因でトラブルになるケースを防ぐため、以下の条件をチェックしてください。
メキシコの入国審査では、口頭説明だけでなく「書面(英語またはスペイン語)」の提示が審査をスムーズにする鍵となります。
出国意思を証明するため、帰りの航空券予約は必ず印刷して持参してください。
滞在先が不明確だと不法就労を疑われる原因になります。全滞在日程の予約票を準備してください。
ビジネス目的の場合、メキシコ側の企業から発行された招へい状があると、商用目的であることが明確になり、適切な滞在日数が付与されやすくなります。
日本からの「出張」であり、現地で報酬を得ないことを証明する補助書類として有効です。
管理者は、メキシコ特有の治安リスクや高額な医療費に対応するための「守り」の体制を整えてください。
メキシコは地域により治安が大きく異なります。空港からの移動ルール(許可タクシーの利用等)や、緊急時の連絡フローを徹底して共有してください。
現地でのデモ、自然災害、治安情報の更新をリアルタイムで受け取るため、会社として登録を義務付けることを推奨します。
物価高騰や為替の影響を踏まえ、現在の日当や宿泊上限額が適正かどうか、直近の現地相場をもとに見直しておくことが望ましいです。

メキシコの主要空港(メキシコシティ、レオン、モンテレイ等)に到着後の流れを解説します。2025年現在、手続きのデジタル化により、入国時の「スタンプ」が滞在許可の唯一の証明となるため、確認作業が極めて重要です。
到着後は「Immigration(入国審査)」の列に進みます。
2025年現在、メキシコシティ(MEX)やカンクン(CUN)などの主要空港では、日本国籍を含む特定の国籍者向けに自動ゲートが導入されています。
ICパスポートをスキャンし、画面の指示に従って顔写真の撮影を行います。通過時にデジタル入国カード(FMMD)のダウンロード案内が出る場合があるため、指示をよく確認してください。
自動ゲートがない空港や、利用できない場合は有人審査となります。審査官はパスポートに入国スタンプを押し、その中に「滞在可能日数」を手書きで記入します。ビザなし渡航の場合、最大180日まで可能ですが、「15日」「30日」など短く設定されるトラブルが散見されます。その場で必ず日数を確認し、予定より短い場合は航空券を提示して修正を求めてください。
入国審査後、預け荷物をピックアップして税関(Customs)へ進みます。
メキシコは入国管理において「審査官の裁量」が強く働くため、以下のリスク管理を徹底してください。
1日でも滞在期限を過ぎるとオーバーステイとなり、出国時に高額な罰金の支払いや、最悪の場合は身拘束・国外追放の対象となります。パスポートに記された日数をカレンダーに登録し、厳守してください。
「商用(ビザなし)」で入国した場合、会議や市場調査は認められますが、「工場での実作業(修理・設置・指導等)」は厳密には就労ビザが必要です。抜き打ち検査で「作業中」とみなされるとトラブルになるため、活動内容の定義を事前に確認してください。
メキシコでは入国スタンプが滞在許可証の代わりです。警察や入管の検問で提示を求められることもあるため、原本は安全な場所に保管しつつ、スタンプページのコピーや写真を常に携帯してください。
メキシコシティ・ベニート・フアレス国際空港(MEX)は、市内中心部から東に約5〜10kmと非常に近い距離にありますが、慢性的な渋滞が激しいため、移動には余裕を持った計画が必要です。
2025年現在、ビジネス出張者が安全かつ確実に移動するための主な手段は以下の3つです。
空港公認のタクシーです。到着ロビーにある「Taxi」のカウンターで行き先を伝え、チケットを事前購入します。車種や行き先のゾーンごとに定額制(250〜400ペソ程度)となっており、流しのタクシーに比べて圧倒的に安全です。チケットの半券は降車まで大切に保管してください。
アプリで事前に料金が確定し、行き先をスペイン語で説明する手間が省けるため、多くの日本人出張者に利用されています。2025年現在、空港内でのピックアップポイントが厳格に指定されています。アプリ上の指示に従い、指定された出口(Gate)付近で合流します。
渋滞の影響を比較的受けにくい専用レーンを走る急行バス(Line 4)です。ターミナル1(Gate 7)とターミナル2(Gate 2)から発着し、市内中心部(Zócaloなど)へ直行します。料金は30ペソと安価ですが、大きな荷物がある場合はタクシーやUberが推奨されます。
最安(5ペソ)ですが、非常に混雑し、ビジネスバッグやスーツケースを持った外国人はスリなどの標的になりやすいため、ビジネス利用での推奨はしません。
メキシコでのビジネスを成功させる鍵は、相手との「個人としての信頼関係(Confianza)」を築くことにあります。合理性だけでなく、礼儀と文化への敬意が結果を左右します。
メキシコでは、相手の地位や役職に見合った「見た目」が信頼に直結します。
ダーク系のスーツにネクタイが標準です。メキシコシティなどの都市部や、政府・金融機関との面談ではフォーマルな装いが求められます。工場訪問などはビジネスカジュアルでも容認されますが、初対面の商談ではジャケットの着用を推奨します。
部屋に入った際、一人ひとりと握手し「Mucho gusto(はじめまして)」と挨拶するのが礼儀です。商談の冒頭は、天気や家族、趣味などのスモールトークから始め、すぐに本題に入らないのがメキシコ流の信頼構築術です。
相手の間違いを人前で指摘したり、厳しく問い詰めたりすることは厳禁です。反対意見がある場合は、一対一の場で穏やかに伝えるのがスマートです。
約束の時間は守るべきですが、相手が15〜30分程度遅れることは珍しくありません。これを「 Jamás(決してない)」と言われるほどルーズなわけではなく、文化的な許容範囲と捉えて余裕を持つことが大切です。
メキシコはカトリックが深く根付いており、同時に法律も近年非常に厳格化されています。
道路、公園、ビーチなどの「公共の場での飲酒および開栓した酒類の持ち歩き」は法律で禁止されています。知らずに屋外でビールを飲んで逮捕されるケースがあるため、飲酒は必ずレストランやホテルの室内で行ってください。
2025年現在、公園、ビーチ、ホテルのテラスを含む「ほぼすべての公共の場」が禁煙となっています。違反者には高額な罰金が科されるため、喫煙は指定のエリア(Area de Fumar)に限定してください。
軍や警察の施設、職員を撮影することは治安上の理由で固く禁じられています。
トラブルを未然に防ぐため、管理者は以下の「実務的な防犯・マナー」を社員に周知してください。
メキシコはチップ社会です。レストランでは10〜15%(サービスが良い場合は20%)が相場です。カード決済時に「%」を選べる端末が主流ですが、ホテルでの荷物運びや清掃には20〜50ペソの現金を渡せるよう、小銭を常に用意させてください。
「流しのタクシー」は原則利用禁止とし、ホテルで呼んでもらう「 Sitio(シティオ)」や、配車アプリ(Uber/DiDi)のみを利用するようルール化してください。
路上でスマートフォンを操作したり、高価な時計や宝飾品を身につけたりすることは「標的」になります。移動中は目立たない服装(地味なもの)を心がけさせるのが危機管理の基本です。
歯磨きやうがい程度は問題ありませんが、飲料水としては必ず封のされたボトルウォーター(Agua Embotellada)を利用するよう徹底してください。
メキシコからの出国は非常にスムーズですが、日本への帰国便の多くが米国を経由するため、メキシコ側の手続きだけでなく「経由地」のルールにも注意が必要です。
2025年現在、メキシコでは出国時の「対面審査」が簡略化されています。
多くの主要空港では、出国時にイミグレーションのカウンターに立ち寄る必要はありません。航空会社のチェックインカウンターでパスポートを提示する際、入国時のデジタルデータ(FMMD)が自動的に照合されます。
2025年現在、パスポートに入国スタンプがある場合は、その内容が有効な滞在許可の証明となります。稀にゲート付近で入管職員によるランダムな書類チェックがあるため、パスポートはすぐに取り出せるようにしておきましょう。
出発の3時間前を強く推奨します。メキシコシティ(MEX)等の主要空港は、保安検査場の混雑が激しく、ターミナル間の移動(モノレール利用)に時間を要することが多いためです。また、米国経由の場合は航空会社による追加のドキュメントチェックが行われます。
メキシコの滞在期限(スタンプに記載された日数)を1日でも過ぎた場合、以下のペナルティが発生します。
出国前に空港内の入国管理局(INM)オフィスへ出向き、罰金を支払う必要があります。滞在期間や超過日数によりますが、数千ペソ(数万円単位)の支払いが発生します。この手続きには時間がかかるため、当日のフライトに間に合わないリスクが非常に高いです。
悪質なオーバーステイや、罰金の未払いはデジタル記録に残り、次回の入国時に別室へ送られたり、ビザ免除(180日以内)の特権が取り消されたりする可能性があります。2025年現在、北米地域間での情報連携が強化されている点にも注意が必要です。
ビジネスの進捗により、入国時に付与された日数をオーバーしそうな場合は、「期限が切れる前」のアクションが絶対条件です。
滞在期間の延長(Prórroga)は、現地の入国管理局事務所で行う必要があります。ただし、ビザなし渡航(180日以内の観光・商用)の場合は原則として延長が認められないケースが多く、「一度出国して再入国する」などの対応が必要になることがあります。
期限が切れる2週間前には、現地の弁護士やビザエージェント、または社内の法務担当に相談してください。管理者は、出張者に対し「入国スタンプに書かれた数字を写真に撮って社内チャットに送る」ことを義務付け、管理側で期限を把握しておくことが、オーバーステイを未然に防ぐ最も有効な手段です。