もくじ
インドネシアは、東南アジア最大の人口と経済規模を誇る巨大市場です。日系企業の製造拠点やスタートアップ投資が集中しており、ビジネス渡航の需要が極めて高い国の一つです。
2025年現在、インドネシア政府はDX(デジタルトランスフォーメーション)を強力に推進しており、入国手続きが「All Indonesia」という新システムに統合されました。これにより、以前よりもスムーズな入国が可能になった一方で、事前のデジタル申請を怠ると空港で大幅な時間をロスするリスクがあります。
インドネシアは広大な群島国家ですが、ビジネスの主要拠点はジャワ島に集中しています。
カナダのトロントやシンガポール同様、国の経済・金融の中心地です。ほとんどの日系企業の本社・拠点がここに集まります。2025年現在も首都機能の移転計画が進んでいますが、ビジネスの心臓部は依然としてジャカルタです。主要空港は、スカルノ・ハッタ国際空港。
インドネシア第2の都市で、東ジャワ州の工業地帯への玄関口です。製造業や港湾関連の出張者が多く訪れます。主要空港は、ジュアンダ国際空港。
空港はありませんが、ジャカルタから車で東に1〜2時間の場所にある世界最大級の工業団地エリアです。多くの日本人出張者の最終目的地となります。
インドネシアの入国審査は以前から「厳しい」ことで知られていましたが、現在はデジタル管理により、より厳格かつ正確になっています。
| 項目 | 確認事項 |
| パスポートの残存期間 | インドネシア入国時に「6ヶ月以上」の有効期限が必須です。1日でも足りないと、航空機への搭乗自体を拒否されます。 |
| 空白ページ | 査証(ビザ)ラベルの貼付やスタンプのため、「2ページ以上」の余白があることが推奨されます。 |
| e-VOA(到着ビザ) | 商談や会議が目的の場合、事前にオンラインでe-VOAを取得しておくのが2025年の標準です。空港到着後の取得も可能ですが、行列を避けるために事前申請を強く推奨します。 |
| All Indonesia(新申告制度) | 事前申請を強く推奨します。 All Indonesia(新申告制度) 2025年10月から導入。入国審査・税関・検疫の情報を一括で登録する必須の手続きです。到着の3日前から登録可能です。 |
2025年から導入された「All Indonesia」は、従来の電子税関申告(e-CD)などを統合したものです。偽サイトや高額な代行サイトが多発しているため、必ず政府の公式ドメイン(.go.id)を使用するよう、出張者に周知を徹底してください。
インドネシアは日本国籍者に対して「ビザ免除」を実施していないため、ビジネス目的・観光目的を問わず、入国には必ず何らかのビザ取得が必要です。
インドネシア入国ガイド【2025年最新版】~ビザ&All Indonesia対応〜
30日以内の商談や会議であれば、「e-VOA(電子到着ビザ/Index: B1)」を利用するのが一般的です。
30日を超える滞在や、何度も入国を繰り返す場合、あるいは現地で作業を行う場合は以下のビザを検討する必要があります。
| ビザの種類 | 対象・目的 | 特徴 |
| 商用シングル (B1) | 短期商談・視察目的 | 60日滞在可能 1回入国 |
| 商用マルチプル (D12) | 短期商談・視察目的 | 1回の入国で最大60日間滞在可能。有効期間内に複数回入出国可能。有効期間1年、2年、5年から選択。 |
| 短期就労 (C312/C313) | 駐在・赴任目的 | 「実労働」とみなされる現場作業に必要なビザ。VOAでの作業は厳禁。 |
| 暫定居住許可 (KITAS) | 現地法人への赴任・駐在。 | 6ヶ月〜2年の長期滞在。現地での納税義務が発生します。 |
制度変更が頻繁に行われるため、必ず以下の公式サイトで「最新のインデックス(ビザ区分)」を確認してください。
e-VOAやe-Visaの申請、最新のビザカテゴリー(B1, D12等)の確認を行う一次情報源です。
日本国内でのビザ申請や公証手続き、祝祭日(業務停止日)の確認に役立ちます。
インドネシアへのビジネス渡航では、航空券の確保と並行して「3日前」からのデジタル申請が必須となります。
インドネシアの入国管理は非常に厳格です。基本条件を満たしていない場合、日本国内の空港で搭乗を拒否されるケースが多発しています。
入国審査官に「不法就労」を疑われないため、また最新システム「All Indonesia」への登録のために以下の準備が必要です。
2025年10月から義務化。到着の3日前から当日までに、税関・検疫・入国情報を一括登録し、発行されるQRコードをスマホに保存、または印刷して持参してください。
事前にオンライン決済(50万ルピア)を済ませた証明書。
入国時に提示を求められることが多いため、必ず英語の控えを所持してください。
インドネシアの取引先や現地法人から発行されたもの。特にシングルビザ(B1)やマルチプルビザ(D12)で渡航する際は必須となります。
All Indonesiaの登録時に、詳細な滞在先住所(県名や郵便番号含む)の入力が必要です。
管理者は、現地でのトラブルが即「国外追放」や「罰金」に直結するインドネシアのリスク特性を理解し、以下の準備を整えてください。
インドネシアは自然災害やデモのリスクがゼロではありません。外務省の「たびレジ」への登録を社内ルールとして徹底してください。
出張者が「現場でスパナを持つ」「PCのセットアップ作業をする」といった実労働を行う予定がある場合、e-VOAでは不十分です。短期就労ビザ(C13)への切り替えが必要ないか、法務担当やエージェントと最終確認を行ってください。

スカルノ・ハッタ国際空港(ジャカルタ)やジュアンダ国際空港(スラバヤ)に到着後、2025年最新のフローに従って手続きを進めます。
2025年現在、事前にe-VOA(電子到着ビザ)を取得しているビジネス渡航者は、大幅な時短が可能です。
e-VOA(Index: B1等)を事前に取得し、ICパスポートを持っている方が対象です。ゲートでパスポートをスキャンし、顔認証(および指紋)を行うだけで入国可能です。有人カウンターの長い列に並ぶ必要がありません。
e-VOAを持たずに到着した場合、まず「VOAカウンター」で料金(50万ルピア)を支払い、その後有人審査へ並びます。審査官に対し、事前に登録した「All Indonesia」のQRコードを提示します(スマートフォンの画面または印刷物)。ビジネス目的の場合は「Business Meeting」や「Market Research」と明確に伝えてください。
荷物をピックアップした後、出口の手前で税関検査(Customs)を受けます。
インドネシアはアジアの中でも入国管理規則の適用が非常に厳格な国です。
滞在許可期限を1日でも過ぎると、1日につき1,000,000ルピア(約1万円)の罰金が即座に課されます。60日を超えると強制送還(デポルタシ)およびブラックリスト入りとなり、再入国が数年間禁止されます。
商用ビザ(B1 / D12)で入国し、工場で実作業を行ったり、工具を持ったりする行為は、「活動内容とビザの不一致」として摘発対象となります。特にチカラン等の工業団地では、入国管理局の巡回査察があるため、企業側は活動内容に合致したビザ(C13等)を選択させてください。
90日以上滞在し、現地のSIMカードを使用する場合は、税関エリアでの「IMEI登録」が必要です。短期出張(90日未満)でローミングやポケットWi-Fiを利用する場合は不要です。
ジャカルタの玄関口であるスカルノ・ハッタ国際空港(CGK)から市内中心部(ジャカルタ中心業務地区:CBD)までは、約30kmの距離があります。ビジネス渡航では、移動にかかる「時間」の読みやすさと「快適性」のバランスが重要です。
2025年現在、主要な移動手段は以下の3つです。
渋滞の影響を一切受けないため、最も時間が読みやすい手段です。第1〜3ターミナルから「スカイトレイン(無料)」で空港鉄道駅へ向かい、市内中心部のBNI City駅やManggarai駅まで約45〜50分で結びます。自動券売機または専用アプリでクレジットカード、電子マネーでの支払いが可能です。
荷物が多い場合やホテルへ直行したい場合に最適です。最も信頼できるのは水色の車体の「Blue Bird(ブルーバード)」、またはその高級版である黒色の「Silver Bird(シルバーバード)」です。必ず到着ロビー内の正規のタクシー乗り場から乗車してください。
アプリで事前に料金が確定し、行き先を説明する手間が省けるため、ビジネス渡航者に非常に人気があります。各ターミナルに「GrabCar / GoCar」の専用ピックアップポイント(ラウンジ)が整備されており、スタッフが配車をサポートしてくれます。
ジャカルタの朝夕(7:00-10:00 / 16:00-20:00)は渋滞が発生します。この時間帯にアポイントがある場合は、「空港鉄道で市内中心部(BNI City駅)まで行き、そこから配車アプリ等に乗り換える」のが最も確実なルートであることを出張者に共有してください。
インドネシアでのビジネスを円滑に進めるためには、高度なデジタル化が進む一方で、根強く残る「対面での信頼関係」と「宗教的タブー」への理解が不可欠です。
インドネシアのビジネス現場では、日本のスーツ文化とは異なる独自の「正装」が存在します。
長袖の襟付きシャツにスラックスが基本です。日本のスーツ(上下)は、政府高官との会談やフォーマルな式典以外では、暑さもあり敬遠されることが多いです。
インドネシアの伝統工芸である「バティック」の長袖シャツは、公式な場での「正装」として認められています。金曜日はナショナル・バティック・デーとして多くの人が着用します。
露出を控えたブラウスにパンツやひざ下丈のスカートが推奨されます。イスラム文化への配慮から、肩や膝が出る服装はビジネスの場では避けるのが賢明です。
人前で相手を厳しく叱責したり、強く否定したりすることは、相手の「顔を潰す」行為として致命的な関係悪化を招きます。改善要求などは個別に、穏やかな口調で伝えるのが鉄則です。
握手、名刺交換、物の受け渡し、食事はすべて「右手」で行います。左手は不浄の手とされるため、特に注意が必要です。
2025年現在、特にタバコや飲酒に関する規制が以前よりも厳格化されています。
2024年後半より、喫煙およびタバコ購入の法定年齢が18歳から21歳に引き上げられました。公共施設、公共交通機関、学校や病院周辺での喫煙は厳禁です。電子タバコ(Vape)も同様の規制対象となります。
イスラム教の戒律により、多くのインドネシア人はアルコールを口にしません。会食の際は、必ず相手が飲酒可能かを確認し、無理に勧めることは厳禁です。また、公共の場での泥酔は厳しく罰せられる可能性があります。
2025年のラマダン期間(3月頃)に渡航する場合、日中の人前での飲食や喫煙を控えることが、ビジネスパートナーに対する最大の敬意となります。
トラブルを未然に防ぐため、管理者は出張者に対し以下の「リスク管理ルール」を徹底してください。
インドネシアでは渋滞やおおらかな国民性により、時間が予定通りに進まないことが多々あります。ただし、日本側が遅れることは許容されません。アポイントの移動には、常に1時間の渋滞予備費を見込むよう指導してください。
宗教や政治に関する批判的な投稿は、法律(ITE法:情報電子取引法)により厳しく罰せられるほか、国外追放の対象となることがあります。現地での言動には慎重さが求められます。
ジャカルタ市内であっても、流しのタクシーは避け、「Blue Bird」または「Grab/Gojek」のみを利用するようルール化してください。また、車内であっても窓を開けてのスマートフォン操作は「ひったくり」の標的となるため厳禁です。
原則として義務ではありませんが、ホテルやレストランでは少額(20,000〜50,000ルピア程度)のチップを渡すことがスムーズなサービスを受けるための潤滑油となります。
インドネシアからの出国は、入国時と同様にデジタル化が進んでいます。一方で、滞在期限の管理については非常に厳しく、ビジネス渡航者が最も慎重になるべきポイントです。
スカルノ・ハッタ国際空港などの主要空港では、最新の自動ゲートが導入されています。 e-VOA(Index: B1)等で入国した方は、出国時も自動ゲートが利用可能です。パスポートをスキャンし、顔認証を行うだけで通過できます。
暫定居住許可(KITAS)保持者や、自動ゲートでエラーが出た場合は有人カウンターへ進みます。
インドネシアのオーバーステイに対するペナルティは、アジア諸国の中でも非常に高額かつ厳格です。
1,000,000ルピア(約1万円)が、超過した日数分課されます。60日以内の超過は、罰金を支払い、即時出国となりますが、デジタル記録に残るため、次回のビザ申請や入国審査で厳しい追及を受ける可能性があります。さらに、60日を超える超過は、「不法滞在」として拘留、国外追放(デポルタシ)の対象となります。さらに、最低でも6ヶ月〜数年間の再入国禁止リスト(ブラックリスト)に登録されます。
ビジネスの都合で滞在を延長する必要が生じた場合、期限ギリギリの対応は命取りになります。
滞在期限が切れる10日前〜遅くとも1週間前には手続きを開始してください。
オンライン(Molinaサイト)で1回(30日間)のみ延長可能です。ただし、システムの不具合や決済エラーが頻発するため、余裕を持って操作する必要があります。
現場の判断で「1日くらい大丈夫だろう」と判断させないことが重要です。出張者が延長を希望した際は、すぐに現地の受入企業やビザエージェントに相談し、法的に正しい手続きが可能かを確認するフローを徹底してください。