もくじ
近年、ASEANの中でも高い経済成長率を維持するカンボジアは、製造業の拠点や新たな市場として日本企業からの注目が高まっています。しかし、渡航にあたっては2025年9月に刷新された主要空港の運用や、独自のビザ制度など、事前に把握しておくべき重要な変更点があります。
本セクションでは、スムーズな出張を実現するために最低限押さえておくべき基本情報を整理します。
カンボジア出張において拠点となるのは、主に以下の3都市です。特に首都プノンペンへの空路は、新空港への移転によりアクセス状況が大きく変わっています。
政治・経済の中心地
利用空港:テチョ国際空港(Techo International Airport / KTI)
2025年9月、旧プノンペン国際空港からすべての旅客便が移管されました。市内から南へ約20kmに位置し、最新設備を備えた新国際空港です。
観光および地方開発の拠点
利用空港:シェムリアップ・アンコール国際空港(SAI)
世界遺産アンコールワットに近い都市ですが、インフラ開発や観光ビジネス関連の出張で利用されます。
物流・製造業の拠点
利用空港:シアヌークビル国際空港(KOS)
カンボジア唯一の大規模深海港があり、経済特区(SEZ)への進出企業による出張がメインとなります。
カンボジア入国には、日本国籍であっても必ず査証(ビザ)が必要です。管理者は、出張者のパスポート有効期限を早期に確認してください。
| 項目 | 確認事項 |
|---|---|
| パスポートの残存期間 | 入国時に「6ヶ月以上」の有効期限が必要です。 |
| ビザの種類 | ビジネス目的の場合は、商用ビザ(Eビザ)を取得します。※観光ビザ(Tビザ)での商用活動は禁じられています。 |
| ビザの有効期間 | 「e-Visa(オンライン)」、「アライバルビザ(空港到着時)」、または「駐日大使館・領事館」での事前取得が可能です。 |
| 取得方法 | 「e-Visa(オンライン)」、「アライバルビザ(空港到着時)」、または「駐日大使館・領事館」での事前取得が可能です。 |
| 入国カード | 現在、「Cambodia e-Arrival」によるオンライン申請に一本化されています。渡航前(7日前から申請可能)に登録を済ませておくとスムーズです。 |
【管理者のためのワンポイントアドバイス】 頻繁に出張が発生する場合は、1年〜3年の「数次ビザ(マルチプルビザ)」の取得も検討しましょう。ただし、数次ビザであっても「1回の滞在は30日まで」という制限がある点には注意が必要です。
カンボジアへのビジネス渡航では、滞在日数や目的に応じた適切なビザの選択が不可欠です。2025年後半より、入国スタンプの廃止と電子入国証明(v-Pass)への移行が進んでいるため、最新の運用ルールを確認しましょう。
ビザの詳細を知りたい方はこちらをご覧ください。
【2025年最新版】カンボジア渡航者必見!ビザの種類・申請方法と注意点を完全解説
日本国籍保持者がビジネス目的で渡航する場合、ビザ免除措置はありません。 渡航前または到着時に、必ず商用ビザを取得してください。
滞在可能日数: 入国から30日間
主な用途: 市場調査、商談、会議出席、契約署名、合意書締結など
取得方法
注意点
観光ビザ(T-class)での商用活動は認められていません。出張の際は必ず「E-class」を選択してください。
30日を超える長期滞在や、現地法人での就業、駐在を予定している場合は、入国後にビザの延長手続き(Extension of Stay)を行うのが一般的です。
まず「商用ビザ(E-class)」で入国します。入国後、有効期限が切れる前にプノンペンの入国管理局にて延長を申請します。
ビザの要件や申請料、運用ルールは予告なく変更されることが多いため、必ず以下の公式情報を確認してください。
在日本カンボジア王国大使館(東京)
最新の申請書類や手数料の確認に最適です。
カンボジア政府公式 e-Visa サイト
オンライン申請の正規窓口です。※類似の代行サイトにご注意ください。
Cambodia e-Arrival(公式入国管理ポータル)
2024年より義務化された電子入国申告のサイトです。入国7日前から登録可能です。
【管理者向け重要ポイント】 2025年7月以降、パスポートへの入国スタンプが廃止され、代わりにメール等で送付される「v-Pass(電子入国証明)」が滞在許可の証明となります。出張者が現地でトラブルにならないよう、入国後に届くメールの保存を徹底させてください。
カンボジアへのビジネス渡航を成功させるためには、出発前の念入りな準備が欠かせません。特に近年は手続きのデジタル化が加速しており、直前での対応が難しい項目も増えています。以下のリストをもとに、漏れがないか確認してください。
パスポートは、カンボジア入国時に以下の条件を満たしている必要があります。
6ヶ月を切っている場合、日本出発時の航空会社チェックインカウンターで搭乗を拒否されるケースが多発しています。
アライバルビザを取得する場合、ビザのステッカーと入国証印(現在は電子化が進んでいますが、予備として必要)のためにまとまった余白が求められます。
ページが剥がれかけていたり、水濡れ跡があったりすると、入国拒否の対象となるため注意が必要です。
商用ビザ(Eビザ)の申請や入国時の審査において、以下の書類の提示を求められる場合があります。
入国審査時に提示を求められることがあります。
e-Arrival登録時に滞在先の住所入力が必要です。
カンボジア側の取引先や現地法人が発行したもの。
日本の所属企業が発行した英文の証明書。
現地法人の事業登録証(長期滞在や就労許可が必要な場合に重要)。
管理者は、出張者の安全とコンプライアンスを守るため、以下の社内体制を再確認してください。
外務省の「たびレジ」への登録を徹底してください。また、2025年に移転したプノンペンの「テチョ国際空港」から市内への移動ルートなど、現地の最新治安情報の周知も重要です。
現在は紙の入国カードが廃止され、「Cambodia e-Arrival」への事前登録が義務化されています。渡航の7日前から申請可能です。完了後に発行されるQRコードをスマホに保存、または印刷して持参するよう指導してください。
2025年後半より、パスポートへのスタンプの代わりに電子メール等で滞在許可(v-Pass)が届く運用となっています。これが滞在の正当性を証明する唯一の書類となるため、社内での保存ルールを決めておくと安心です。

2024年以降、カンボジアの入国手続きは劇的なデジタル化を遂げました。特にプノンペンのテチョ国際空港(KTI)などの主要空港では、紙の書類は一切不要となり、スマートフォンでの対応が基本となります。
入国審査場(Immigration)に着いたら、まずは「e-Arrival」の登録状況を確認してください。
荷物を受け取った後は、税関(Customs)ゲートへ進みます。e-Arrival登録時に税関申告も含まれているため、基本的にはQRコードの再提示のみで通過可能です。
スムーズな入国を妨げる、日本人が陥りやすいトラブルを整理しました。
2025年9月の開港以来、プノンペンの空の玄関口は市内中心部から南へ約20kmの「テチョ国際空港(KTI)」へと移転しました。旧空港よりも距離があるため、移動手段の選択が到着後のスケジュールに大きく影響します。
現在、ビジネス出張者が利用できる主な手段は以下の3つです。
概要: プノンペン自治バス公社が運行する公式のシャトルバスです。最も安価な移動手段で、車内も清潔で冷房が完備されています。
主な停留所: 市内北部のカッチ・カノン(Kouch Kanong)ラウンドアバウトから、フン・セン通り、イオンモール・ミエンチェイ等を経由します。
概要: カンボジアで最も一般的な移動手段です。アプリ上で目的地を指定でき、料金が事前に確定するため、不当な請求のリスクを避けられます。
車両タイプ: 一般的な乗用車(Car)のほか、1〜2名なら「Rickshaw(トゥクトゥク)」も選択可能ですが、荷物が多いビジネス利用では「Car」または「SUV」を推奨します。
概要: 到着ロビーの外にある公式カウンターで申し込む定額制タクシーです。
特徴: 事前予約なしで確実に利用でき、大型のミニバンなども手配可能なため、グループでの出張や荷物が多い場合に適しています。
※なお、市内と空港を結ぶライトレール(メトロ)計画は検討段階にあり、2026年現在はまだ運行されておりません。
「東南アジアの中でも特に物価が安い国」というイメージをお持ちの方も多いですが、外国人向けのビジネスサービスに関しては、想像ほど安くないのが現実です。
また、カンボジア特有の事情として「米ドル(USD)」と現地通貨「リエル(KHR)」の2種類が流通している点が挙げられます。
本記事では、カンボジア出張におけるホテル、食事、日用品の相場と、独特な通貨事情による経費管理の注意点を解説します。
カンボジアの宿泊施設は、外資系高級ホテルからゲストハウスまでピンキリです。
しかし、ビジネス出張においては「セキュリティ(盗難防止)」と「電力の安定性(停電対策)」の観点から、一定以上のグレードを選ぶことが必須です。
※価格は米ドル(USD)表記が一般的です。(1 USD=約150円換算)
相場:1泊 200 USD〜350 USD(約30,000円〜52,500円)
ローズウッド、ハイアット、ソフィテルなどの世界的ブランドホテルです。
相場:1泊 70 USD〜120 USD(約10,500円〜18,000円)
現地の高級ブティックホテルや、アジア系チェーン(Sun & Moonなど)が該当します。
相場:1泊 25 USD〜40 USD(約3,750円〜6,000円)
| ホテルランク | 予算感(USD/泊) | 日本円目安 | 推奨対象 |
| 5つ星(高級) | $200〜 | 3万円〜 | 役員・VIP |
| 4つ星(標準) | $70〜$120 | 1万円〜1.8万円 | 一般社員・管理職 |
| 3つ星以下 | $25〜$40 | 〜6,000円 | (非推奨) |
カンボジア経済は事実上の「ドル建て」で動いており、輸入品も多いため、生活必需品の価格はタイやベトナムよりも高い場合があります。
「ローカル屋台」と「外国人向けレストラン」の価格差が極端に開いています。衛生面を考慮すると、ビジネス出張者は後者を利用することになり、結果として日本に近い食費がかかります。
カンボジアには地下鉄や電車がないため、車移動が基本です。
カンボジアでは宗教観・社会規範がビジネスにも強く影響します。日本と異なる点を理解しておくことで、無用なトラブルを防げます。カンボジアは非常に親日的で穏やかな国民性ですが、上座部仏教の教えが社会の根底にあり、ビジネスマナーや日常の振る舞いには独自のルールが存在します。これらを尊重することは、現地での信頼関係を築くための第一歩となります。
カンボジアのビジネス文化は、「ヒエラルキー(階層)への敬意」と「調和」を非常に重視します。
男性は長袖のワイシャツとスラックスが標準的です。初対面や政府関係者との面談ではジャケットを着用しますが、2回目以降やカジュアルな場ではノーネクタイでも問題ありません。
女性は肩や膝が出る露出の多い服を避け、パンツスーツや膝下丈のスカートを着用するのが一般的です。
伝統的な挨拶「サムペア(両手を胸の前で合わせる)」も一般的ですが、ビジネスの場では握手が普及しています。
名刺交換は必ず両手で行い、相手の役職を尊重して、最も年長または上位の人物から順に挨拶をします。
カンボジアでは「人間関係ができてからビジネスが始まる」と考えられています。いきなり本題に入るのではなく、家族や健康、これまでの経歴などに関するスモールトークを大切にしてください。
カンボジアの法律と宗教上のタブーについて、出張者が特に注意すべき点は以下の通りです。
法律上の飲酒・喫煙は18歳以上です。公共の場での過度な泥酔は厳しく戒められます。
【重要】 都市部では一部のバーで「ドリンク・スパイク(飲み物に薬物を入れられる被害)」や粗悪なアルコール(メタノール混入)による事故が報告されています。知らない人からの飲み物は受け取らず、信頼できる店舗を利用してください。
頭は神聖な場所とされているため、子供であっても他人の頭に触れてはいけません。
逆に足は不浄なものとされており、足の裏を人や仏像に向けたり、物を足で指し示したりするのは非常に無礼な行為です。
女性は僧侶に触れてはいけません。公共交通機関(バス等)で隣に座ることも避けるのがマナーです。
安全管理の観点から、管理者は以下の「社内行動ルール」を出張者に徹底させることを推奨します。
夜間の独り歩きは避け、必ずGrab等の配車アプリかホテル手配のタクシーを利用すること。特に流しのトゥクトゥクは、荷物のひったくり(スナッチ)のリスクがあるため、ビジネスバッグを抱えての利用は控えるよう指導してください。
カンボジアには王室に対する王室侮辱罪(不敬罪)があります。SNS等を含め、王室や政治、宗教に対する批判的な発言や投稿は、法的トラブルを招く恐れがあるため厳禁です。
かつては公的な場での「チップ」要求が見られましたが、現在は政府を挙げて撲滅に取り組んでいます。安易に金銭を渡すことは、企業のコンプライアンス違反に繋がるため、毅然とした対応が必要です。
滞在を終えて帰国する際、入国時と同様にデジタル化された手続きへの対応が求められます。特にビジネス渡航では、不注意によるオーバーステイが将来の入国禁止(ブラックリスト入り)に繋がるリスクがあるため、慎重な管理が必要です。
プノンペンのテチョ国際空港(KTI)は大規模かつ最新の設備を備えていますが、市内からの距離があるため、余裕を持った行動が不可欠です。
新空港は市内中心部から車で40分〜1時間以上かかります。また、チェックインカウンターや出国審査が混雑する場合を想定し、3時間前の到着を強く推奨します。
パスポート
搭乗券(ボーディングパス)
v-Pass(電子入国証明): 入国時にメール等で受信した滞在許可のデータを、必要に応じて提示できるよう準備しておいてください。
出国審査官によるパスポートの確認と顔写真の撮影が行われます。2025年以降、出国スタンプも電子化・簡素化されていますが、審査官の指示に従って手続きを完了させてください。
カンボジアの入国管理法は、不法滞在に対して非常に厳格です。
空港の出国審査時に発覚した場合、その場で日数を計算し、現金の米ドルで支払う必要があります。
30日以内の超過: 罰金の支払いで出国は可能ですが、記録が残るため、次回のビザ申請時に審査が厳しくなる可能性があります。
30日を超える大幅な超過:罰金の支払いに加え、拘束・強制送還(デポテーション)、および一定期間の再入国禁止(ブラックリスト登録)の対象となるリスクが極めて高くなります。
商談の難航やプロジェクトの延長などで、当初の30日間の滞在期限を超えそうな場合は、「期限が切れる1週間前」までに手続きを開始するのが鉄則です。
プノンペン国際空港(旧空港)向かいの入国管理局、または政府公認のビザ代行業者を通じて申請します。
出張者が現地で勝手に判断せず、必ず日本の管理部署に報告するフローを徹底してください。特に「v-Pass」の期限はメールや専用アプリでしか確認できないため、管理側でも期限を把握しておくことがリスク回避に繋がります。
最新の渡航ルールや治安情報を確認するために、必ず以下の公式サイトをブックマークしておきましょう。
Cambodia e-Arrival (公式入国管理ポータル)
入国・税関・検疫の申告をオンラインで行うための唯一の公式窓口です。
観光・商用ビザのオンライン申請はこちらから。類似の代行サイト(手数料が高額なもの)にご注意ください。
日本国内でのビザ申請、手数料、必要書類の最新情報が掲載されています。
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