もくじ
ベルギーは欧州連合(EU)の主要機関が置かれ、「欧州の首都」とも称されるビジネスの要衝です。日本からは大手企業の欧州拠点が多く設置されており、定期的な出張ニーズが高い国でもあります。円滑な出張を実現するためには、主要都市の地理的関係と、欧州特有の入国ルール(シェンゲン協定)を正しく理解しておくことが不可欠です。
ベルギー出張において、主要な玄関口となるのはブリュッセル国際空港(BRU)です。日本からの直行便(ANA)が就航しており、ビジネス利用において最も利便性が高いルートとなります。
| 都市名 | 特徴・主な産業 | 最寄りのアクセス |
| ブリュッセル | EU本部やNATOが所在。金融、国際機関、各種法人の欧州拠点が集中する政治・経済の中心地。 | ブリュッセル国際空港より列車で約20分 |
| アントワープ | 世界最大級の港湾都市。ダイヤモンド取引に加え、化学工業や物流ビジネスの拠点。 | ブリュッセル国際空港より列車・バスで約30〜40分 |
| ゲント | IT・バイオテクノロジー産業が盛ん。歴史的な街並みの中に近代的なビジネスパークが点在。 | ブリュッセル国際空港より列車で約1時間 |
ベルギーへのビジネス渡航では、滞在期間や目的に応じて必要な手続きが異なります。特に「パスポートの有効期限」と「シェンゲン協定」のルールは、直前でトラブルになりやすい項目です。
・短期滞在(90日以内): 報酬を伴わない商談、市場調査、会議出席などの「ビジネス目的」であれば、日本国籍者は原則としてビザ不要です。
・就労: 現地で実務に従事したり、報酬を得たりする場合は、期間に関わらず就労許可が必要になるため注意が必要です。
ベルギー(およびシェンゲン協定加盟国)への入国には、「出国予定日から3ヶ月以上」の有効期間が残っている必要があります。企業の管理者は、航空券の手配前に社員のパスポート期限を必ず確認してください。
あらゆる180日の期間内で最大90日間まで無査証滞在が可能です。近隣の欧州諸国(フランス、ドイツなど)を連続して訪れる場合、合算してカウントされる点に注意してください。
2025年以降、欧州への入国には事前渡航認証システム「ETIAS」の申請が段階的に義務化される予定です。最新の導入時期については、常に公式情報を確認する体制を整えましょう。
ベルギーへの出張において、ビザが必要かどうかの判断基準は「滞在日数」と「活動内容」の2点に集約されます。
日本国籍を保持している場合、商談、契約調印、市場調査、会議出席などの「報酬を伴わない業務」であれば、ビザなしでの入国が認められています。
あらゆる180日間の期間内で合計90日まで。
滞在が90日を超える場合、または期間に関わらず現地で実務作業に従事し「報酬」を得る場合は、適切な就労・滞在許可を得る必要があります。
現在のベルギーにおける主流な許可形態です。以前は「労働許可」と「居住許可」を別々に申請していましたが、現在は一括して申請するシステムになっています。
シングル・パーミットの承認後、日本国内のベルギー大使館でパスポートに貼付してもらうビザです。これによりベルギーへの入国と、現地での外国人登録が可能になります。
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出発直前に慌てることがないよう、企業(管理者)側と出張者個人側の両面から確認すべき項目をまとめました。

ベルギーの玄関口、ブリュッセル国際空港(BRU)に到着してからの流れを解説します。
飛行機を降りたら「Arrivals / Immigration」の表示に従って進みます。
電光掲示板で自身の便名を確認し、該当するターンテーブルへ進みます。
申告するものがない場合は、緑色の「Nothing to Declare」ゲートを通過します。
ブリュッセル空港から市内中心部までは約12kmと近く、複数の移動手段があります。
| 手段 | 所要時間 | 料金(目安) | 特徴・活用シーン |
| 列車 (SNCB) | 約20分 | 約12〜13€ | 最も推奨。 市内主要駅(北・中央・南駅)へ10分間隔で運行。渋滞がなく時間が正確です。 |
| タクシー | 約20〜40分 | 約50€〜 | 荷物が多い場合。 到着ロビー正面に公式乗り場があります。クレジットカード決済が一般的です。 |
| バス (Airport Line) | 約30〜40分 | 約7.5€ | EU本部周辺へ行く場合。 12番線が「Schuman」や「Luxembourg」駅を通ります。 |
| Uber / 配車アプリ | 約20〜40分 | 約40€〜 | アプリで手配可能。ピックアップポイントが指定されているため、案内に従い移動が必要です。 |
ベルギーは「フランダース(オランダ語圏)」と「ワロン(フランス語圏)」、そして「ブリュッセル(2言語併用)」の3地域で文化や慣習が異なります。相手の背景に配慮した振る舞いが、信頼関係の構築を助けます。
初対面では力強い握手とアイコンタクトが基本です。親しくなると頬にキスを交わす(ビズ)文化もありますが、ビジネスの場では握手で問題ありません。また、相手が「ファーストネームで呼んで」と言うまでは、タイトル(Mr. / Ms.)と名字で呼ぶのが無難です。
ベルギーのビジネスシーンでは、時間は非常に厳格に守られます。会議の5分前到着を心がけ、万が一遅れる場合は必ず事前に連絡を入れましょう。
コンサバティブ(保守的)なスーツスタイルが好まれます。特に金融や公的機関を訪ねる際は、ダークカラーのスーツと磨かれた靴が信頼の指標となります。
ブリュッセルはフランス語とオランダ語の両方が公用語です。どちらかの言語を優先しすぎず、まずは英語でコミュニケーションが可能か確認するか、簡単な挨拶(Bonjour / Goedendag)を使い分ける姿勢が見せられると非常に好印象です。
レストランの料金にはサービス料が含まれていますが、良いサービスを受けた際は端数を切り上げたり、5〜10%程度のチップを置くのがスマートです。
欧州出張で最も注意すべきは、シェンゲン協定に基づく「滞在日数の計算」です。
シェンゲン圏内では「あらゆる180日間の期間内で合計90日以内」というルールがあります。
出張者が過去6ヶ月以内に他の欧州諸国(ドイツ、フランス等)へ渡航していないか必ず確認してください。
1日でも超過すると、多額の罰金や、今後数年間にわたるシェンゲン圏への入国禁止措置が取られるリスクがあります。これは企業の海外事業継続において大きな損失となります。
5.1.駐日ベルギー大使館
住所: 〒102-0084 東京都千代田区二番町5-4
5.2.在ベルギー日本国大使館
住所: Rue Van Maerlant/ Van Maerlantstraat 1, 1040 Bruxelles/Brussel