今回は、オーストリア出張における出入国とビザや現地情報について紹介します。なお、規定や手続きは変更となる場合がありますので、最新情報は下記のリンク等にて確認しましょう。(※2025年12月現在の状況です。)
もくじ
オーストリアは、EU域内の交通・物流の要衝として高い評価を受けており、日本企業にとっても重要なビジネス渡航先の一つです。中でもウィーンは、国連機関や多国籍企業が集積する国際的なビジネス拠点として重要な役割を担っています。
本章では、ビジネス渡航で想定される都市を紹介するとともに、出張者が渡航前に確認しておくべき基本情報について解説します。
オーストリアへのビジネス出張では、経済活動が集中する以下の都市が中心的な渡航先となります。
| 都市 | 主な特徴 | 主要空港 |
| ウィーン (Wien) | 首都であり、政治・経済・文化の中心地。国連機関や多国籍企業が多く、国際会議やMICEも頻繁に開催される。日本からの直行便の利用が可能。 | ウィーン国際空港 (Flughafen Wien-Schwechat / VIE) |
| ザルツブルク (Salzburg) | 音楽産業や自動車産業(部品サプライヤーなど)が発展しており、周辺地域への出張拠点となることも多い。 | ザルツブルク空港 (Flughafen Salzburg / SZG) |
| グラーツ (Graz) | シュタイアーマルク州の州都。自動車産業、機械工学、環境技術の研究開発が盛んな地域。 | グラーツ空港 (Flughafen Graz / GRZ) |
| リンツ (Linz) | オーバーエスターライヒ州の州都。鉄鋼業や化学工業、ITやメディア産業も成長している。 | リンツ空港 (Flughafen Linz / LNZ) |
オーストリアはシェンゲン協定加盟国であり、短期の商用渡航には特別なルールが適用されます。企業側・出張者側で以下の基本事項を事前に確認し、適切な準備を行うことが重要です。
シェンゲン協定加盟国からの出国予定日から3ヶ月以上の残存期間が必要です。
また、パスポートに2ページ以上、査証欄の余白があることも確認しましょう。余白が不足していると、搭乗や入国を拒否される可能性があるため、事前確認が重要です。
観光・短期商用目的での滞在であれば、日本国籍者は原則としてビザ(査証)は不要です。ただし、現地企業から報酬を得る活動や、現地での労務提供とみなされる行為は、滞在期間にかかわらず就労ビザが必要になる可能性が高いため、詳細を事前に確認する必要があります。
全シェンゲン加盟国での滞在期間を合算して「過去180日間のうち90日以内」という制限があります。過去6ヶ月間の渡航履歴を確認し、残りの滞在可能日数を正確に計算する必要があります。
緊急時の高額な医療費や救援費用に備えるため、治療費・救援費補償が無制限、もしくはそれに準ずる高水準の海外旅行保険への加入が推奨されています。
日本人出張者が行う一般的な商談や会議を目的とした短期滞在においては、シェンゲン協定に基づきビザが免除されます。
原則としてビザ(査証)は不要です。
滞在期間はオーストリアだけでなく、過去180日間に渡航した全シェンゲン加盟国での滞在日数が合算されます。90日以内の出張であっても、直近で他のシェンゲン国に渡航していた場合は、正確な残存日数を確認する必要があります。
滞在期間が90日を超える場合、または短期であっても明確な就労活動を行う場合は、短期商用(ビザ免除)の範囲外となり、適切なビザまたは滞在許可の申請が必須となります。これらの手続きは複雑なことも多いため、現地での活動開始前に完了している必要があります。
ビジネス目的であっても、オーストリアを含むシェンゲン協定域内での滞在が90日を超えることが確定している場合は、Dビザ(National Visa D)の申請が必要です。
オーストリア国内での報酬を得る活動や、現地での労務提供とみなされる「就労」を行う場合は、滞在期間にかかわらず以下の許可が必要となります。
オーストリアに拠点を移し、長期的に駐在員として勤務する場合は、レッド・ホワイト・レッド・カード(Rot-Weiß-Rot–Karte / RWR-Karte)などの長期滞在許可が主要な選択肢となります。
ETIAS(エティアス)はいつから必要?2026年導入予定の最新情報解説
ビザ要件に関する情報は、以下の公式機関のウェブサイトに掲載されています。 正確な情報を確認して出張の準備を進めましょう。
日本の居住者向けの情報を提供しています。ビザ、滞在許可の申請手続きや必要書類について確認できます。
入国管理、滞在許可に関する詳細な法律や規則の原文が掲載されています。
就労許可やRWRカードなど、労働市場関連の規制を確認できます。
| 項目 | 詳細 | 確認の時期 |
| ビザ/滞在許可の確認 | 出張者の活動内容に基づき、ビザ免除の範囲内か最終確認する。就労とみなされる場合は、必要な許可証を申請する。 | 渡航の1ヶ月前 |
| 海外旅行保険の手配 | 治療・救援費用が無制限のプランを推奨。保険契約書を出張者に提供し、携行させる。 | 渡航の2週間前 |
| 現地連絡先の設定 | 現地支社や取引先の担当者名、携帯電話番号、緊急時の連絡ルートを明確にし、出張者と共有する。 | 渡航の1週間前 |
| 通信手段の確保 | 海外ローミングの設定、現地SIMの手配、またはポケットWi-Fiのレンタル手続きを完了させる。 | 渡航の1週間前 |
| 項目 | 詳細 | 期限 |
| パスポートの確認 | 有効期限が帰国予定日から3ヶ月以上あるか、査証欄に2ページ以上の余白があるかを確認する。 | 渡航の1ヶ月前 |
| 電源と変換プラグ | オーストリアの電圧は230V、コンセント形状はタイプF(Cタイプも使用可)。マルチ変換プラグと変圧器(必要な場合)を用意する。 | 渡航の前日 |
| キャッシュとカード | ユーロ(EUR)の現金を少額用意する。クレジットカード(Visa、 Mastercardが一般的)が現地で利用可能か確認する。 | 渡航の1週間前 |
| 書類の携行 | 入国審査をスムーズに進めるために、往復の航空券、ホテル予約確認書、海外旅行保険の契約書、現地企業からの招聘状(ある場合)を携行する。 | 渡航の前日 |

オーストリアへは 入国審査→預け荷物受け取り→税関申告 の流れで入国となります。
オーストリアはシェンゲン協定加盟国のため、シェンゲン領域国の場合は、入国は到着した空港と最後に出国する空港で入国・税関審査を受けます。
飛行機を降りたら、「Arrival(到着)」の案内板に従って「Immigration(入国審査)」へ。
EU諸国外旅行者用カウンターに並び、審査官にパスポートを提示して審査を受けます。
日本出発の際に手荷物を預けた人は、自分が乗ってきた飛行機の便名が表示されたターンテーブルで受け取ります。
荷物を受け取ったら、税関を通過します。所定の金額以上の現金を持ち込む場合や、禁止・制限品を所持している場合は、申告が必要です。
空港からウィーン・ミッテ駅まで約16分、料金は片道11ユーロ、往復19ユーロです。
(※料金は変動する場合がございます。)
空港からウィーン・ミッテ駅まで約25分、料金は片道4.2ユーロです。
(※料金は変動する場合がございます。)
所要時間は約30分。料金は片道8ユーロ、往復13ユーロです。
(※料金は変動する場合がございます。)
時間に非常に厳格で、会議や商談への遅刻は信用低下につながります。やむを得ず遅れる場合は、必ず事前に連絡することが重要です。
ビジネスシーンでは保守的でフォーマルな服装が好まれます。男性はダークスーツとネクタイが基本で、清潔感のある身だしなみが求められます。
合理性と明確さを重視する傾向があり、結論や根拠を簡潔に伝えることが好まれます。過度な曖昧表現は避けるとよいでしょう。
公用語はドイツ語ですが、ビジネスの場では英語が広く通用します。挨拶や簡単なフレーズをドイツ語で使うと好印象です。
欧州の中では比較的治安が良い国ですが、ウィーンの観光地や主要駅(中央駅、西駅、プラターシュテルン駅など)では、スリや置き引きが多発しています。手荷物から目を離さないように注意してください。
乗車前に必ず刻印(バリデート)する必要があります。刻印がなく無賃乗車とみなされると高額な罰金が科せられます。
義務ではありませんが、レストランやタクシーでは料金の5%〜10%程度のチップを渡す習慣があります。
空港でセキュリティチェックと出国審査(Passport Control)を受けます。シェンゲン域外へ渡航する日本人出張者は、ここでパスポートにスタンプが押されます。
出張中に購入した物品について、免税手続き(Tax Refund)を行う場合は、以下の手順が必要です。
オーストリアはシェンゲン協定加盟国のため、日本国籍者がビザ免除で滞在できる期間は過去180日間で最大90日までと定められています。この日数はシェンゲン協定国全体で通算されるため、他国での滞在日数も含めた管理が必要です。
滞在期間を1日でも超過するとオーバーステイとみなされ、罰金や退去命令、将来の入国制限などのリスクが生じる可能性があります。出張延長や予定変更が発生した場合は、速やかに滞在日数を確認し、必要に応じて適切なビザや滞在許可を検討することが重要です。
住所: 〒106-0046 東京都港区元麻布1-1-20
住所:Japanische Botschaft Heßgasse 6, 1010 Wien, Österreich