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【2025年最新】オーストリア出張:ビザ・入国手続きと現地ビジネスマナー完全ガイド

投稿日:2024.09.02 / 最終更新日:2025.12.18

今回は、オーストリア出張における出入国とビザや現地情報について紹介します。なお、規定や手続きは変更となる場合がありますので、最新情報は下記のリンク等にて確認しましょう。(※2025年12月現在の状況です。)

オーストリア出張の概要

オーストリアは、EU域内の交通・物流の要衝として高い評価を受けており、日本企業にとっても重要なビジネス渡航先の一つです。中でもウィーンは、国連機関や多国籍企業が集積する国際的なビジネス拠点として重要な役割を担っています。

本章では、ビジネス渡航で想定される都市を紹介するとともに、出張者が渡航前に確認しておくべき基本情報について解説します。

ビジネス渡航で想定される主な都市・空港

オーストリアへのビジネス出張では、経済活動が集中する以下の都市が中心的な渡航先となります。

都市主な特徴主要空港
ウィーン (Wien)首都であり、政治・経済・文化の中心地。国連機関や多国籍企業が多く、国際会議やMICEも頻繁に開催される。日本からの直行便の利用が可能。ウィーン国際空港 (Flughafen Wien-Schwechat / VIE)
ザルツブルク (Salzburg)音楽産業や自動車産業(部品サプライヤーなど)が発展しており、周辺地域への出張拠点となることも多い。ザルツブルク空港 (Flughafen Salzburg / SZG)
グラーツ (Graz)シュタイアーマルク州の州都。自動車産業、機械工学、環境技術の研究開発が盛んな地域。グラーツ空港 (Flughafen Graz / GRZ)
リンツ (Linz)オーバーエスターライヒ州の州都。鉄鋼業や化学工業、ITやメディア産業も成長している。リンツ空港 (Flughafen Linz / LNZ)

出張者が事前に押さえるべきポイント(ビザ、パスポート、有効期限など)

オーストリアはシェンゲン協定加盟国であり、短期の商用渡航には特別なルールが適用されます。企業側・出張者側で以下の基本事項を事前に確認し、適切な準備を行うことが重要です。

パスポートの有効期限

シェンゲン協定加盟国からの出国予定日から3ヶ月以上の残存期間が必要です。

また、パスポートに2ページ以上、査証欄の余白があることも確認しましょう。余白が不足していると、搭乗や入国を拒否される可能性があるため、事前確認が重要です。

ビザ(査証)の要否

観光・短期商用目的での滞在であれば、日本国籍者は原則としてビザ(査証)は不要です。ただし、現地企業から報酬を得る活動や、現地での労務提供とみなされる行為は、滞在期間にかかわらず就労ビザが必要になる可能性が高いため、詳細を事前に確認する必要があります。

シェンゲン協定ルール

全シェンゲン加盟国での滞在期間を合算して「過去180日間のうち90日以内」という制限があります。過去6ヶ月間の渡航履歴を確認し、残りの滞在可能日数を正確に計算する必要があります。

海外旅行保険

緊急時の高額な医療費や救援費用に備えるため、治療費・救援費補償が無制限、もしくはそれに準ずる高水準の海外旅行保険への加入が推奨されています。

日本人出張者のビザ要件

短期商用(90日以内)のビザ要否と条件(ビザ免除・滞在許可日数)

日本人出張者が行う一般的な商談や会議を目的とした短期滞在においては、シェンゲン協定に基づきビザが免除されます。

ビザの要否

 原則としてビザ(査証)は不要です。

ビザ免除の条件

  • 滞在期間が過去180日間のうち90日以内であること。
  •  契約交渉、市場調査、商談、展示会参加、社内会議など、「現地で報酬を得ない純粋な商用活動」であること。

シェンゲン協定の厳守

滞在期間はオーストリアだけでなく、過去180日間に渡航した全シェンゲン加盟国での滞在日数が合算されます。90日以内の出張であっても、直近で他のシェンゲン国に渡航していた場合は、正確な残存日数を確認する必要があります。

90日超・就業目的・駐在の場合に必要なビザの種類の概要

滞在期間が90日を超える場合、または短期であっても明確な就労活動を行う場合は、短期商用(ビザ免除)の範囲外となり、適切なビザまたは滞在許可の申請が必須となります。これらの手続きは複雑なことも多いため、現地での活動開始前に完了している必要があります。

90日を超えて180日以内の滞在(Dビザ)

ビジネス目的であっても、オーストリアを含むシェンゲン協定域内での滞在が90日を超えることが確定している場合は、Dビザ(National Visa D)の申請が必要です。

  • 91日目から180日目までの長期滞在を可能にするためのビザです。
  • 取得場所: 原則として、日本国内のオーストリア大使館または総領事館で渡航前に申請します。
  • Dビザは滞在を許可するものですが、これだけでオーストリアでの就労活動が自動的に認められるわけではありません。就労を伴う場合は、別途労働許可が必要になることがあります。

就労を伴う短期〜長期滞在(滞在許可証・就労許可)

オーストリア国内での報酬を得る活動や、現地での労務提供とみなされる「就労」を行う場合は、滞在期間にかかわらず以下の許可が必要となります。

  • 滞在許可証(Aufenthaltsbewilligung):特定の目的(企業内異動、研究、専門家など)に基づき、オーストリアに90日を超えて滞在し、就労活動を行うために必要な許可です。活動内容(専門性、期間、所属企業など)によって、申請すべき滞在許可の種類が細かく分かれています。
  • 就労許可(Beschäftigungsbewilligung):滞在許可とは別に、オーストリアの労働市場への影響を考慮して、現地の労働局から発行される許可です。90日以内の短期的な技術指導やサービス提供者など、比較的短い期間の就労活動であっても、この許可が必要となるケースが多くあります。

駐在員としての長期滞在(RWR-Karteなど)

オーストリアに拠点を移し、長期的に駐在員として勤務する場合は、レッド・ホワイト・レッド・カード(Rot-Weiß-Rot–Karte / RWR-Karte)などの長期滞在許可が主要な選択肢となります。

  • RWR-Karteの概要: 高度な資格を持つ専門家や、オーストリアの労働市場で需要の高い職業に就く外国人労働者を受け入れるための制度です。
  • 申請要件: スキル、資格、年齢、給与水準などに基づくポイント制が導入されており、一定の基準を満たす必要があります。
  • 手続きの複雑性: 申請書類が多岐にわたり、審査に時間を要するため、駐在計画が立ち上がった時点で、渡航予定日の3〜6ヶ月前から現地の法務顧問や専門家への相談を開始することが必須です。

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ビザ情報を確認すべき公式窓口

ビザ要件に関する情報は、以下の公式機関のウェブサイトに掲載されています。 正確な情報を確認して出張の準備を進めましょう。

在日オーストリア大使館

日本の居住者向けの情報を提供しています。ビザ、滞在許可の申請手続きや必要書類について確認できます。

オーストリア内務省 (Bundesministerium für Inneres)

入国管理、滞在許可に関する詳細な法律や規則の原文が掲載されています。

オーストリア連邦デジタル化・経済立地省 (Bundesministerium für Digitalisierung und Wirtschaftsstandort) および労働省

就労許可やRWRカードなど、労働市場関連の規制を確認できます。

渡航前チェックリスト(企業・出張者向け)

企業(管理者・人事・総務部門)向けチェックリスト

項目詳細確認の時期
ビザ/滞在許可の確認出張者の活動内容に基づき、ビザ免除の範囲内か最終確認する。就労とみなされる場合は、必要な許可証を申請する。渡航の1ヶ月前
海外旅行保険の手配治療・救援費用が無制限のプランを推奨。保険契約書を出張者に提供し、携行させる。渡航の2週間前
現地連絡先の設定現地支社や取引先の担当者名、携帯電話番号、緊急時の連絡ルートを明確にし、出張者と共有する。渡航の1週間前
通信手段の確保海外ローミングの設定、現地SIMの手配、またはポケットWi-Fiのレンタル手続きを完了させる。渡航の1週間前

出張者(本人)向けチェックリスト

項目詳細期限
パスポートの確認有効期限が帰国予定日から3ヶ月以上あるか、査証欄に2ページ以上の余白があるかを確認する。渡航の1ヶ月前
電源と変換プラグオーストリアの電圧は230V、コンセント形状はタイプF(Cタイプも使用可)。マルチ変換プラグと変圧器(必要な場合)を用意する。渡航の前日
キャッシュとカードユーロ(EUR)の現金を少額用意する。クレジットカード(Visa、 Mastercardが一般的)が現地で利用可能か確認する。渡航の1週間前
書類の携行入国審査をスムーズに進めるために、往復の航空券、ホテル予約確認書、海外旅行保険の契約書、現地企業からの招聘状(ある場合)を携行する。渡航の前日

オーストリア入国手続きの流れ(到着空港での動き方)

オーストリアへは 入国審査→預け荷物受け取り→税関申告 の流れで入国となります。

オーストリアはシェンゲン協定加盟国のため、シェンゲン領域国の場合は、入国は到着した空港と最後に出国する空港で入国・税関審査を受けます。

到着

飛行機を降りたら、「Arrival(到着)」の案内板に従って「Immigration(入国審査)」へ。

入国審査

EU諸国外旅行者用カウンターに並び、審査官にパスポートを提示して審査を受けます。

荷物の受け取り

日本出発の際に手荷物を預けた人は、自分が乗ってきた飛行機の便名が表示されたターンテーブルで受け取ります。

税関

荷物を受け取ったら、税関を通過します。所定の金額以上の現金を持ち込む場合や、禁止・制限品を所持している場合は、申告が必要です。

空港から市内までの移動手段

快速電車CAT(City Airport Train)

空港からウィーン・ミッテ駅まで約16分、料金は片道11ユーロ、往復19ユーロです。

(※料金は変動する場合がございます。)

電車Sバーン(S-bahn)

空港からウィーン・ミッテ駅まで約25分、料金は片道4.2ユーロです。

(※料金は変動する場合がございます。)

空港リムジンバス(Vienna Airport Lines)

所要時間は約30分。料金は片道8ユーロ、往復13ユーロです。

(※料金は変動する場合がございます。)

滞在中の注意点(ビジネス慣行・ルール)

オーストリアのビジネス慣行

時間厳守

時間に非常に厳格で、会議や商談への遅刻は信用低下につながります。やむを得ず遅れる場合は、必ず事前に連絡することが重要です。

服装・身だしなみ

ビジネスシーンでは保守的でフォーマルな服装が好まれます。男性はダークスーツとネクタイが基本で、清潔感のある身だしなみが求められます。

コミュニケーション姿勢

 合理性と明確さを重視する傾向があり、結論や根拠を簡潔に伝えることが好まれます。過度な曖昧表現は避けるとよいでしょう。

言語・挨拶

 公用語はドイツ語ですが、ビジネスの場では英語が広く通用します。挨拶や簡単なフレーズをドイツ語で使うと好印象です。

安全と治安

 欧州の中では比較的治安が良い国ですが、ウィーンの観光地や主要駅(中央駅、西駅、プラターシュテルン駅など)では、スリや置き引きが多発しています。手荷物から目を離さないように注意してください。

法的・文化的ルール

公共交通機関の切符

乗車前に必ず刻印(バリデート)する必要があります。刻印がなく無賃乗車とみなされると高額な罰金が科せられます。

チップ

義務ではありませんが、レストランやタクシーでは料金の5%〜10%程度のチップを渡す習慣があります。

出国時の手続きとオーバーステイ対策

出国時の手続き

空港でセキュリティチェックと出国審査(Passport Control)を受けます。シェンゲン域外へ渡航する日本人出張者は、ここでパスポートにスタンプが押されます。

VAT(付加価値税)還付手続き(免税手続き)

出張中に購入した物品について、免税手続き(Tax Refund)を行う場合は、以下の手順が必要です。

  1. 購入店で免税書類を受け取る。
  2. 空港の税関(Customs)で、購入品とパスポート、免税書類を提示し、税関スタンプを受ける。
  3. 指定の還付カウンターで手続きを行い、税金を受け取る。

オーバーステイ対策

オーストリアはシェンゲン協定加盟国のため、日本国籍者がビザ免除で滞在できる期間は過去180日間で最大90日までと定められています。この日数はシェンゲン協定国全体で通算されるため、他国での滞在日数も含めた管理が必要です。

滞在期間を1日でも超過するとオーバーステイとみなされ、罰金や退去命令、将来の入国制限などのリスクが生じる可能性があります。出張延長や予定変更が発生した場合は、速やかに滞在日数を確認し、必要に応じて適切なビザや滞在許可を検討することが重要です。

参考リンク・公式情報

駐日オーストリア大使館

住所: 〒106-0046 東京都港区元麻布1-1-20

在京オーストリア大使館

在オーストリア(ウィーン)日本国大使館

住所:Japanische Botschaft Heßgasse 6, 1010 Wien, Österreich

在オーストリア日本国大使館

 

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