もくじ
広大な国土を持つオーストラリアは、主要都市ごとに経済的な役割が異なります。円滑な出張を実現するには、訪問先都市の特性と、入国時のルールを正しく理解しておくことが不可欠です。
オーストラリア出張では、目的に応じて以下の都市が主な訪問先となります。各都市へのアクセスには、日本からの直行便または経由便を利用します。
| 都市名 | 特徴・主な産業 | 主要空港(コード) |
| シドニー | オーストラリア最大の経済・金融の中心地。多くの日本企業が拠点を置く。 | シドニー国際空港(SYD) |
| メルボルン | 商業、製造業、IT産業が盛ん。シドニーに次ぐ第二の経済都市。 | メルボルン空港(MEL) |
| ブリスベン | 資源・エネルギー開発、農業、観光業の拠点。 | ブリスベン空港(BNE) |
| パース | 鉄鉱石や天然ガスなどの資源ビジネス、鉱山関連の要衝。 | パース空港(PER) |
【チェック】 シドニーやメルボルンへは日本からの直行便が運行されていますが、その他の都市へは国内線への乗り継ぎが必要です。移動時間を含めた余裕のあるスケジューリングが求められます。
オーストラリアは入国管理が厳格であり、「ビザ(査証)なし」での入国は原則認められません。 渡航の準備段階で、必ず以下の項目を確認してください。
短期間の商用目的(会議、交渉、調査など)であれば、電子入国許可「ETA(Subclass 601)」の申請が一般的です。専用のスマートフォンアプリから、出張者本人が申請を行う必要があります。
入国時に「滞在予定期間を満たす有効期限」が残っている必要があります。ただし、不測の事態(フライトキャンセルや滞在延長)に備え、6ヶ月以上の残存期間を確保しておくのがビジネス渡航における標準的なリスク管理です。
現在はデジタル入国宣言(DPD)は廃止されていますが、機内で配布される「入国カード」の記入は必須です。特に食品や動植物製品の持ち込み制限が世界で最も厳しい国の一つであるため、虚偽の申告がないよう注意が必要です。
オーストラリアは高度なキャッシュレス社会です。少額の決済でもカード(特にコンタクトレス決済)が主流のため、予備を含めた複数枚のカード持参を推奨します。
オーストラリアへの入国には、たとえ短期間であっても有効なビザ(または電子入国許可)が必須です。滞在期間や業務内容に応じて適切な種類を選択しないと、入国拒否や将来的な渡航制限などのペナルティを受ける可能性があるため注意が必要です。
日本国籍の方が、30日以内の商用目的(会議、商談、視察など)で渡航する場合、一般的に「ETA(Subclass 601)」を取得します。厳密にはビザそのものではなく「電子入国許可」という扱いですが、実質的なビザの役割を果たします。
1回の入国につき最大3ヶ月(90日)まで滞在可能です。「30日以内」の出張であればETAで十分カバーされます。
発行から12ヶ月、またはパスポートの有効期限が切れるまでのいずれか早い方。
下記に該当する活動であること
オーストラリア国内の企業から報酬を得る「就業」や「労働」は禁止されています。
3ヶ月を超える長期滞在や、現場での実作業(エンジニアの修理作業、コンサルティング業務等)を伴う場合は、ETAではなく適切な「就労ビザ」の取得が必要です。
| 滞在目的 | 推奨されるビザの種類 | 特徴 |
| 短期・高度な専門作業 | 臨時作業者ビザ(Subclass 400) | 専門的な技術提供や緊急の修理など、短期間(通常3ヶ月以内)の労働を伴う場合に適用する。 |
| 中長期・駐在員 | 技能不足(暫定)ビザ(Subclass 482) | 現地法人への駐在や中長期的な専門業務従事者向けの就労ビザ。 |
| 研修・トレーニング | 研修ビザ(Subclass 407) | 日本の親会社から現地法人への実務研修などを目的とする場合に利用できます。 |
【管理者のポイント】 「商談」と「実作業」の境界線は曖昧になりがちですが、オーストラリア当局は非常に厳しくチェックします。「現地の設備を操作する」「技術指導を行う」といった場合は、短期であっても Subclass 400 の検討を推奨します。
ビザの規定は、予告なく変更されることがあります。申請前には必ず以下の公式情報を確認してください。
オーストラリア内務省(Department of Home Affairs)公式サイト
ビザ全般の一次情報・オンライン申請など
https://immi.homeaffairs.gov.au
在日オーストラリア大使館(ビザ・国籍)
日本国内向けの案内・日本語での基本情報
https://japan.embassy.gov.au/tkyojapanese/visa_main.html
公式ETA申請アプリ「Australian ETA」
iOS版(App Store)
https://apps.apple.com/jp/app/australianeta/id1527982364
Android版(Google Play)
https://play.google.com/store/apps/details?id=au.gov.homeaffairs.eta
外務省 海外安全ホームページ(オーストラリア)
入国制限や安全情報などの公的な判断材料
https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcinfectionspothazardinfo_071.html
オーストラリア出張を成功させるためには、直前の準備だけでなく、余裕を持った書類の整備と社内規程の確認が欠かせません。以下のリストを参考に、準備状況を確認してください。
オーストラリア入国において、パスポートは最も基本的な「通行証」です。以下の条件を満たしているか、今すぐ確認してください。
オーストラリア政府の規定では「滞在予定期間を満たす有効なパスポート」があれば入国可能です。しかし、経由地の条件や不測の事態(フライトキャンセルや急な滞在延長など)を考慮し、「入国時に6ヶ月以上」の残存期間がある状態で渡航するのがビジネス上の標準的なリスク管理です。
入国スタンプなどのために、最低1〜2ページ以上の空白があることが望ましいです。ページが不足している場合は、早めにパスポートの切替申請を行ってください。
ICチップの破損や表紙の外れ、水濡れ跡があるパスポートは、入国審査でトラブルになる原因になります。
ETA等のビザ以外にも、入国審査や現地での活動で提示を求められる可能性がある書類を準備しておきましょう。
不法滞在の意図がないことを示すため、第3国へ抜ける、あるいは日本へ帰国する航空券の所持は必須です。
滞在先が明確であることを証明します。
現地の取引先や支社から発行されたもの。訪問目的や滞在期間が明記されていると審査がスムーズです。
所属企業が渡航費用を負担し、出張後は日本に帰国することを証明する書類として有効です。
長期滞在の場合や、自費での渡航を疑われた場合に、滞在資金を証明するために必要となることがあります。
管理者は、出張者が現地で安全かつ効率的に動けるよう、以下のバックアップ体制を確認してください。
オーストラリア特有の物価高を考慮した「日当」や「宿泊費上限」の設定が適切か、最新の状況に合わせて確認しておきます。
テロや自然災害、事故に備え、緊急連絡網(24時間対応のサポートライン等)が出張者に共有されているか確認してください。
現地のWi-Fi環境は整っていますが、移動中の連絡用に法人用レンタルWi-Fiや海外用SIMカード、ローミングサービスの利用可否を決定しておきます。

オーストラリアの主要空港では、最新の自動化システムにより入国審査がスムーズに行われる一方、荷物検査(検疫)は非常に厳格です。到着後の流れを把握し、申告漏れによるトラブルを防ぎましょう。
日本国籍でICチップ付きパスポートをお持ちの16歳以上の方は、自動入国審査端末「スマートゲート(SmartGate)」を利用できます。
現在、紙の入国カードに代わり、一部の航空会社やアプリで「デジタル入国宣言(Digital IPC)」の導入が進んでいます。渡航前に利用可能なアプリがあるか確認し、事前に登録しておくと入国審査がさらに迅速化されます。
入国審査を終えて預け荷物を受け取ったら、最後に出口で「税関・検疫」を通ります。オーストラリアは独自の生態系を守るため、持ち込み品に非常に敏感です。
1万豪ドル相当(または外貨の相当額)以上の現金を持参する場合は、必ず申告が必要です。申告を怠ると没収や罰金の対象となりますが、正しく申告すれば課税されることはありません。
「食べ物を持っているか?」という質問には、少しでも持っていれば「YES」と回答してください。
ビジネス出張者が特に注意すべき点は、「ビザの条件と実際の活動の不一致」です。
ETA(短期商用)で入国しながら、現地で「機械の修理作業」や「労働に対する報酬の受け取り」を行うことは違法です。審査官から滞在目的を問われた際は、ETAの範囲内である「会議(Meeting)」や「商談(Business Discussion)」であることを明確に伝えてください。
意図しないオーバーステイを防ぐため、常にビザの有効期限を把握しておきましょう。万が一、病気やフライト遅延で滞在が延びる場合は、速やかに内務省(Home Affairs)に連絡し、適切なアドバイスを受ける必要があります。
検疫での虚偽申告(持っているのに「持っていない」と答える)は、その場で高額な罰金(数千ドル単位)が科せられるほか、最悪の場合はその場でビザがキャンセルされ、強制送還・数年間の入国禁止となります。「迷ったら申告する」が基本方針です。
シドニー国際空港(SYD)は市内中心部(CBD)から南に約10kmと非常に近く、アクセスが良好です。移動手段は、スピード重視か、ドア・ツー・ドアの利便性重視かで選択しましょう。
シドニーでは公共交通機関と民間の配車サービスが高度に整備されています。
最も定時性が高く、出張者に推奨される手段です。国際線ターミナル駅から市内中心部(Central駅、Town Hall駅など)まで直通で結んでいます。
ターミナル出口の「Taxi Rank」から乗車します。2025年後半から「市内中心部への固定料金制(Fixed Fare)」の試行が始まっており、渋滞による料金の高騰を防げるようになっています。
オーストラリアでは非常に一般的です。タクシーより安価な場合が多く、アプリ内で決済が完結するため経費精算もスムーズです。
結論から申し上げますと、現在のオーストラリア(特にシドニー、メルボルン)の物価は日本の約2倍〜3倍と感じる場面も珍しくありません。
オーストラリアのホテル代は、コロナ禍以降の高騰が続いています。特にシドニーなどの主要都市では稼働率が高く、直前の予約では非常に高額になる傾向があります。
※以下はシドニー・メルボルン等の主要都市における平日・通常期の目安です。(1豪ドル=約100円換算)
相場:1泊 400豪ドル〜700豪ドル(約40,000円〜70,000円)
フォーシーズンズ、インターコンチネンタル、パークハイアットなどのラグジュアリー層。
相場:1泊 250豪ドル〜400豪ドル(約25,000円〜40,000円)
ビジネス出張で最も一般的に利用されるグレードです。アコーホテルズ(メルキュール、ノボテル)や、現地チェーン(Rydgesなど)が該当します。
相場:1泊 180豪ドル〜250豪ドル(約18,000円〜25,000円)
キッチンや洗濯機がついたアパートメントタイプや、やや郊外のホテルです。
| ホテルランク | 予算感(豪ドル/泊) | 日本円目安 | 推奨対象 |
| 5つ星(高級) | $400〜 | 4万円〜 | 役員・VIP |
| 4つ星(標準) | $250〜$400 | 2.5万〜4万円 | 一般社員・管理職 |
| 3つ星(エコノミー) | $180〜$250 | 1.8万〜2.5万円 | 長期滞在・コスト重視 |
海外主要都市の宿泊費相場が知りたい方はこちらをご覧ください。
【2026年最新】世界の主要25都市ホテル相場|海外出張の宿泊費目安リスト
オーストラリアは世界一最低賃金が高い国の一つと言われており、人件費が価格に転嫁される「外食」や「サービス」は非常に高額です。一方で、スーパーで買う食材などは比較的安定しています。
現地での食事代は、日本の感覚の2〜3倍を見積もっておくのが無難です。
オーストラリアのビジネス文化は、英国式の伝統と「エガリタリアニズム(平等主義)」が融合した独特なものです。円滑な関係構築のために、日本とは異なるルールや慣習を理解しておきましょう。
オーストラリアでは日本と異なる服装感覚と商談スタイルが存在します。基本を理解しておくことで、初回訪問時の印象を大きく改善できます。
シドニーやメルボルンの金融・法務系では依然としてスーツが主流ですが、多くのビジネスシーンでは「スマートカジュアル(襟付きシャツにチノパン、ジャケットなど)」が一般的です。ただし、初回の訪問や重要な商談では、スーツを着用するのが無難です。
オーストラリア人は、結論を急ぐ傾向があります。過度な世間話(スモールトーク)よりも、「具体的なメリット」や「事実(データ)」に基づいた端的な説明が好まれます。
役職に関わらず、ファーストネームで呼び合うことが一般的です。上下関係よりも「パートナーとしての対等な関係」を重視するため、謙遜しすぎず、自分の意見をはっきり伝えることが信頼につながります。
日本人が最も陥りやすいトラブルが、お酒にまつわる法律です。
公園、ビーチ、道路などの公共の場での飲酒は法律で禁止されています。バーベキューエリアなどで許可されている例外を除き、屋外で飲酒をすると高額な罰金が科せられる場合があります。
アルコール購入時やパブへの入店時には、たとえ高齢であっても写真付き身分証明書(パスポート)の提示を求められます。デジタルコピーではなく、原本の携帯が推奨されます。
屋内および公共施設の入り口付近は全面禁煙です。また、オーストラリアでは2024年以降、Vape(電子タバコ)の規制が大幅に強化されており、処方箋なしの所持や持ち込みは厳しく制限されています。
安全管理の観点から、管理者から出張者へ以下のルールを周知しておくことをお勧めします。
オーストラリアのビジネスマンは早朝から働き、17時頃には退社するスタイルが一般的です。現地の取引先に対して、夕方以降や週末に急ぎでない連絡を入れることは控えるよう指導しましょう。
基本的にチップの習慣はありませんが、高級レストランでのサービスに満足した場合は、料金の10%程度を上乗せするのがスマートです。
警察・消防・救急はすべて「000」です。万が一の事件・事故に備え、この番号と、勤務先の緊急連絡先をスマートフォンに登録しておくよう徹底してください。
オーストラリアからの出国は、入国時と同様に自動化が進んでおり非常にスムーズです。しかし、ビザの期限管理や消費税の払い戻しなど、ビジネス渡航者が忘れてはならない手続きも存在します。
シドニーやメルボルンなどの主要国際空港では、日本国籍の出張者はスマートゲート(SmartGate)を利用してセルフサービスで出国できます。
国際線の場合は、出発の3時間前に空港へ到着しておくのが鉄則です。特にビジネス客の多いシドニー空港では、保安検査が混雑しやすいため、余裕を持った行動が求められます。
高額な備品や贈答品などを購入した場合、GST(消費税)の払い戻しを受けられます。TRSカウンターは出国審査の後にありますが、検査に時間がかかるため、利用する場合はさらに30分程度早めに到着することをお勧めします。
オーストラリアはビザの期限に対して非常に厳格です。たとえ数時間の超過であっても、法的根拠のない滞在(オーバーステイ)は深刻なリスクを伴います。
28日以上のオーバーステイをした場合、原則としてその後3年間、オーストラリアへのビザ申請が認められない「再入国禁止期間」が課されます。
一度でも違反歴がつくと、次回のETA申請がアプリで通らなくなり、大使館での厳格な審査が必要になります。今後の海外ビジネス展開に大きな足枷となります。
強制送還が必要となった場合の費用はすべて本人(または雇用企業)の負担となり、高額な請求が発生する可能性があります。
商談の難航やプロジェクトの遅延、あるいはフライトのキャンセル等で、当初の予定より滞在が延びる可能性がある場合は、「期限が切れる前」に以下の対応を行ってください。
現在のビザ(ETAなど)で認められている最大滞在日数(通常は1回の入国につき3ヶ月)を再確認してください。
どうしても滞在を延ばす必要がある場合は、現地で別のビザ(例:Visitor visa Subclass 600)を申請できる場合があります。ただし、ETAから他のビザへの切り替えには一定の条件があるため、判明した時点で速やかに移民局の公式サイトを確認するか、登録移民エージェントに相談してください。
管理者は出張者のパスポートとビザのコピーを把握し、予定帰国日の2〜3日前にアラートを出すなどの運用を徹底し、組織的なリスク回避を図りましょう。
オーストラリアの渡航ルールは更新頻度が高いため、出発前には必ず以下の一次情報(公式ソース)を確認してください。
オーストラリア内務省(Department of Home Affairs)
ETA(Subclass 601)の最新要件や、就労ビザに関する全情報を網羅した公式サイトです。
在日オーストラリア大使館(Visa and Citizenship)
日本人渡航者向けの案内が日本語で提供されています。
Australian ETA(公式申請アプリ)
ETAの申請にはこのアプリが必須です。
iOS版(App Store) / Android版(Google Play)
TRS (Tourist Refund Scheme) アプリ
出国時の消費税払い戻し(TRS)を迅速化するための公式アプリです。
「何が持ち込めるか」を具体的に検索できるガイドです。食品の持ち込み判断に迷った際に活用してください。
現地の治安情報や、緊急時の日本大使館・領事館の連絡先を確認できます。