皆さんの会社では出張に関する情報をどのように管理していますか。例えば、年間を通じて各エリアに何件の出張が発生したかすぐに算出することはできますか。また、従業員が頻繁に出張するエリアで大規模災害が発生した場合、御社ではそのエリアに誰が出張しているか即座に把握できますか。
事業の拡大に伴い出張の頻度が増えてくると出張管理の必要性が増してきます。そして、出張管理システムを導入することで効率的な管理が可能になります。また、出張管理システムには出張申請や旅費規程チェック機能が備わっており、出張総務の負荷を軽減するメリットもあります。
この記事では出張管理システムの歴史から機能や導入メリットについて解説します。また、出張管理のポイントや体制、導入プロセスについても説明します。
出張マネジメントとは、出張に関わるさまざまな業務の効率化や最適化を図る活動のことです。航空業界の予約システムの普及をきっかけに、1990年代前半から米国を中心に広がっていきました。しかし、当初は導入費用や維持管理コストが高く、導入するのは出張頻度の多いグローバル企業が中心でした。しかし、SaaSの台頭とともに導入ハードルは下がり、2010年以降は幅広い企業が活用するようになりました。
クラウド型の出張管理システム(BTM)の到来が出張の管理を変える
近年ではテクノロジーが更に進化し、SaaS型であることはもちろんのこと、API連携により出張管理システムと経費精算システムを連携することで業務効率の向上が可能になりました。また、ビックデータの活用によって平均相場の視覚化や価格情報予測などができるようになりました。
システムを導入することで利用できる機能は多く、システム内での手配に加え、出張申請機能を有しているサービスが多いです。また、一部のシステムでは費用の可視化や安全管理などの機能も有しています。以下に出張管理システムの提供機能を紹介します。
航空券やホテルの予約や手配は、出張管理システムの最も基本的な機能と言えます。手配が可能なものは、新幹線や航空券などの移動手段とホテルがメインですが、WiFiや海外旅行保険などに対応しているシステムもあります。また、予約方法に関しては、メールや電話等による有人対応のパターンと自分で予約をするセルフブックタイプの2通りがあります。
多くの出張管理システムには出張申請機能が備わっています。申請と予約が連動しているため、申請が承認されないと予約ができないといった挙動が期待できます。出張費用の精算に関しては、既存の経費精算システムと連動しているツールがあります。
出張費用の可視化は出張管理システムならではの機能です。当月の出張費用を即座に把握できることに加え、出張ごと、手配物(例:国内航空券)ごと、出張者ごと、部門ごとなど、様々な切り口でコストを可視化することができます。
出張における課題の一つが、規律ある出張予約です。手配の過程が見えないと、出張者が趣向を優先し、高い飛行機やホテルを選択する場合があります。また、カラ出張などによる不正も少なからず存在します。出張管理システムを活用することで旅費規程の遵守状況や高額な航空券や宿泊施設の特定が可能になります。
出張者の安全を守るために次のような機能があります。1つ目は、出張国に関する情報を提供する機能です。外務省が提供する海外安全情報や出入国情報を提供するシステムがあります。もう一つの機能が出張者がどこにいるかを可視化、検索できる機能です。天候災害などが発生した場合に当該エリアに誰がいるかを確認する際に役立ちます。
出張管理システム(BTM)の機能を紹介。導入によって出張管理はどう変わる?
出張管理システムには費用に見合った価値があるのでしょうか。規律ある出張手配によるコスト適正化や出張管理者の負担軽減を考慮した場合、導入の価値は大いにあります。各出張者が自由に手配する場合や旅行会社にメールで依頼する場合と比較して、出張管理システムを通じた手配には次のようなメリットがあります。
出張管理システムでは、航空券や新幹線、宿泊施設などを一か所で予約することができます。また、旅行スタッフに相談する機能を備えているサービスもあり、最適なプランを提示してくれます。複数サイトを訪れて比較や予約する場合と比べ、出張手配に要する時間は大幅に軽減されます。
業務渡航では、出張の前に出張申請、出張後に経費精算といった出張関連業務があります。申請による負担は、出張者に加え、承認者や管理者にも業務負荷を与えます。加えて、会計部門も規程遵守の有無等を確認しており、全社的な業務負荷は非常に大きくなります。システムを活用することで申請業務を楽にしたり、経費精算ソフトと連動することで入力負荷を軽減することが可能です。
出張管理システム上で手配を行うと全てのコスト情報が一元的に管理できます。その結果、高額な航空券や宿泊施設の特定が容易になります。また、出張者側にも監視の意識が生まれるためコスト削減につながることが多いです。
出張者の滞在エリアを一元的に管理することで天候災害等があった場合に現地にいる出張者を特定することが可能になります。加えて、外務省を活用することで出張先の安全情報を取得することができます。また、航空会社の渡航情報と紐づけることでスムーズな渡航が可能になります。
出張旅費規程の遵守状況を把握したり、社内稟議を経た上での出張手配によってコーポレートガバナンスに基づく出張が可能になります。また、カラ出張などの不正検知や例外駅的に高額な出張費用の特定も出張システムを通じて実現することができます。
個々人で出張手配を行っている場合、従業員が出張費用を立て替える必要があります。それらの金額が高額になると出張者の金銭的負担が大きく、出張に対するモチベーションの低下につながります。出張管理システムを利用すると会社単位の請求書払いになるため立替負担を解決することが可能です。
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上記の特徴やメリットにより出張管理システムを導入すると決めたら、次はシステムの選定が論点になります。選定にあたっては、次の項目が基準となります。
自社にとって最適なシステムを選択していきましょう。
出張管理システム(BTM)の比較13選。サービス比較表や選定シートも掲載。
出張管理システム(BTM)の導入事例の紹介。導入によるコスト削減効果は?
システムの選定を行ったら次は社内での活用に向けた導入準備フェーズに入ります。導入にあたっては、社内にシステム導入を中心的に行うメンバーを選定しましょう。メンバー選定後は、現状の業務フローの整理からはじまり、業務フローの改善、社内での利用方法の説明などを行う必要があります。
また、規模の大きな企業の場合は、社内に出張管理する部門があるでしょう。その場合は、トラベルマネージャーとしてミッションを設定しましょう。そのうえで、チームとしての業務内容と各メンバーの役割設定を定めていきましょう。
欧米では一般的な「トラベルマネジャー」の出張時に関する役割とその重要性
新型コロナウイルス以降、出張管理者に求められる役割は変わりました。具体的には、出張者の渡航国の安全情報の把握や現地でトラブルがあったときの支援体制の強化などが求められています。また、働き方が多様化したことでウェブ会議などの選択肢も広がり、出張の必要性について確認する企業もあります。各企業には出張管理の考え方をアップデートすることが求められています。
海外出張再開に向けて会社が整備すべきこと(ウィズコロナ対応)
本コラムでは、出張管理システムについて整理しました。具体的には出張管理システムが搭載する機能や導入メリットについて解説しました。また、システムの選定基準や選定後の導入プロセスについても説明しました。ビジネスを行う以上、多かれ少なかれ出張を避けることはできません。自社の出張状況によってベストな管理方法は異なってきますので、本コラムを参考に最適な管理システムを選択していきましょう。