本コラムでは、トラベルマネジャーの視点から出張管理システム(BTM)の特徴・効果や導入プロセスに関してシリーズ化してお届けしています。今回は3回目のコラムとなります。
前回は、出張管理の質を向上させるうえで重要な役割を担う「出張指針(ガイドライン)の作成」に関してお話しました。
今回は、トラベルマネジャーが出張経費削減に向け、トラベルデータをどの様に活用しているのかを具体例を交えてお届けいたします。
ここ数年、ビジネストラベルマネジメント先進国の欧米でも、トラベルプログラムを検討する際、「Traveler First」「出張者がもっとも大事(主人公)」が、重要なキーワードとして取り上げられてきています。
一昔前、欧米のトラベルプログラムでは、「コスト削減」が最優先事項でした。
例えば、
こんなことは日常茶飯事で、出張者の負荷増(移動時間の増、早起き、深夜の帰宅)は当り前でした。「出張者の時間は、会社に搾取されている」とも、言われていたものです。事実、会社の出張規程にも、例えば、コスト削減のため、フライトの発着時間に関して、±2時間の変更を出張者に依頼することができるとする記載がありました。
現在のトレンドでは「出張者の負荷を過剰に増やすことなく、出張コスト削減を実現する」ことが重要視され、業務渡航におけるトラベルマネジャーの重要な責務の一つになっています。
トラベルマネジャーは、あらゆるトラベルデータを蓄積・一元管理し、様々な軸からデータを可視化、分析することで、トラベルコスト削減と出張者の利便性向上の両立を図ります。例えば、以下のアプローチは、全ての企業において有効な検討項目です。
その他にも、週末の渡航を避けることで、コスト削減と出張者のプライベートへの配慮の両立を模索することも可能です。また、出張者自身は、利便性を優先して高価でも変更可能な航空券を好む傾向がありますが、実際に変更が発生している確率をデータで示し、会社全体としては、安価な変更不可の航空券を購入、万が一、予定が変更になった場合には、現地で新たに航空券を購入した方が総コスト的には合理的であることを進言することも有効です。
この様に、データに裏付けられた提案をすることが、トラベルマネジャーの重要な役割になります。そのためにも、質の高いトラベルデータを基にした分析→仮説検証→実践のプロセスが必須になります。
トラベルマネジャーが会社に蓄積されているトラベルデータを活用することで、出張者に過剰な負荷をかけることなく、出張者がコアビジネスに集中することを可能にするトラベルプログラムを実現、出張関連コストの削減だけでなく、本来の出張の目的である会社利益の拡大に貢献することが可能になります。
今回は、トラベルデータを活用して「海外出張の際の航空運賃」を削減する活動に関してお話し致しました。次回は、トラベルマネジャーが「国内出張経費」削減に向け、トラベルデータをどの様に活用しているのかを具体例を交えてお届けいたします。
トラベルマネジャーの育成に興味のある方はこちらのサイトがおすすめです。
参考:Global Business Travel Associationが提供するトラベルマネージャー育成プログラム
The Fundamentals of Business Travel Management